Oracle Application Server Portal
ウイザードとクリッピングでポータルを構築

写真8●OmniPortletによる企業情報ポータル画面の構築(1)術
写真8●OmniPortletによる企業情報ポータル画面の構築(1)
Webサービスを用いてポートレットを作成する

 Oracle Application Server 10gでは企業情報ポータルを実現する機能を統合している。ウイザード形式による開発およびPortal Developer Kit(PDK)を使用した開発で,Webブラウザを使用した容易なポータル画面作成と,ユーザーが希望する複雑な機能を実現するためのコンテンツやポートレットを構築することができる。ポータル画面を構成するポートレット群はこのウイザードやPDKを使って開発したり,あるいはOTN(http://otn.oracle.co.jp/index.html)からあらかじめ提供されているものをダウンロードしてインストールしたりすることができる。

 ポートレットはアクセスする各ユーザーによってパーソナライズされて表示される。ポートレット間の通信が可能なほか,WebDAVプロトコルを使ってユーザー自身が気軽にポートレット上にコンテンツを登録することもできる。ポータル・サイト上に登録された(アップロードされた)これらのコンテンツは,サーチ・エンジンであるUltra Search機能を使って全文検索を行うことも可能となる。

 Oracle Application Server Portalでは世界中のユーザーがアクセスする企業情報ポータルの構築を可能にするために,表示されるすべてのテキストを29種類の言語に対応している。最初のログイン画面で言語を設定しておくことで,ユーザーは自分の使える言語で同じポータル画面にアクセスができる。

 今回,Oracle Application Server 10gでは基本機能に加えて,OmniPortletとWeb Clippingを追加した。OmniPortletとは企業情報ポータル画面を構成するポートレットの1種で,ポータル・ページの設計者がWebサービスを使ったアプリケーションを開発する手間を削減できる(写真8[拡大表示])。

 例えば,データ・フォーマットがCSVやXML(Extensible Markup Language)などのファイルに格納されたデータや,Webサービスなどのオンライン通信から得られるデータ,SQLやJCAを使用して入手したコンテンツを素早くポートレット上に表示させる場合,OmniPortletでは,「どの種類のコンテンツか?(CSVかXMLかWebサービスか)」を指定し,その後「どのように表示するか?(シートかテキストかチャートか)」をウイザード形式の画面に従って指定するだけになっている(写真9[拡大表示])。

 ほかにも,Webサービスで受け取ったデータを表示させる場合,その仕組みはOmniPortlet自身がWebサービスのクライアントとなっている。指定されたWSDLを解析し,Webサービスにアクセスして受け取ったデータを指定された形式でレンダリングする。開発者は定型的なコンテンツの表示にはOmniPortletを使用すると容易に開発できる。

 新しいWeb Clippingはすでに存在するWebページのコンテンツの中から特定部分をクリッピング(抽出)し,ポートレット化することができる。このときページ開発者は目的のWebページをURLで指定したのちブラウズし,マウス操作で抽出する部分を選択するだけの操作となる(写真10[拡大表示])。Oracle Application Server Portalが,指定されたURLによって受け取る画面を分析し,必要な部品に分解し,取り出し可能な部分を分けて表示する。既存の画面やアプリケーションを統合するための企業情報ポータル画面であれば,おそらくこのOmniPortletとWeb Clippingによって十分な機能を提供している。

写真9●OmniPortletによる企業情報ポータル画面の構築(2)
写真9●OmniPortletによる企業情報ポータル画面の構築(2)
CSVなどのデータをどのように表示するかをウイザード形式の画面に従って指定していく
写真10●Web ClippingによるGUI作成画面
写真10●Web ClippingによるGUI作成画面
既存のWebページ上の中から抽出する部分をマウスで選択するだけでポートレットを作成することができる

ビジネス・インテリジェンス
モバイル,セキュリティの強化

 Oracle Application Server 10gでも従来のバージョンに引き続きOracleデータベースに構築されたデータ・ウエアハウスを使用し,分析用のドリルダウン可能なワークシートを作成したり,3次元グラフなどを分析結果として生成したりして表示する機能が搭載される。ビジネス・インテリジェンス機能ではワークシートやグラフを企業情報ポータルのポートレットとして表示させることやPDF帳票として生成することもできる。

モバイル・デバイスに依存しないアプリ開発

 Oracle Application Server 10gのワイヤレス機能(Wireless Option)は,モバイル・アプリケーションの開発,配置,および管理用の完全なプラットフォームを提供する。PDAや携帯電話など複数の端末タイプを認識するマルチ・チャネル配信機能によってアプリケーションを完全にデバイスから独立させることができる。端末タイプによってはOracle Application Server 10g側からのメール配信などの通知サービスも利用可能になる。

Active Directoryとの同期機能

 Oracle Application Server 10gにおいてもディレクトリ管理機能であるOracle Internet Directoryとシングル・サインオン機能は継続して提供されている。Oracleデータベースの仕組みを利用したLDAPサーバーを軸に,ユーザー情報を集中管理し,複数存在するサインオン環境をひとつにまとめる。Oracle Application Server 10gでは,Oracle Internet Directoryにおいて従来までのiPlanetのLDAPサーバーとの連携に加えて,Windows Active Directory Services用に事前に構成されたディレクトリとの同期機能を追加する。これにより,ユーザーは,Oracle環境とWindows環境全体にわたって単一のIDおよびパスワードを利用することが可能となる。Windows環境に統一しているユーザー向けの機能である。そのほかにも動的グループのサポート,Oracle Internet Directory Self-Service Consoleの拡張,Oracle E-Business Suite 11iとの同期などの強化が行われている。

Web Cache
動的コンテンツもキャッシュ

 J2EEアプリケーション・サーバー上で稼働するWebアプリケーションを高速化するための手段として通常,ハードウエアの増強(CPUの増強/サーバー・マシンの増設)やクラスタリング,パフォーマンス・チューニング,プログラムの見直しなどが思い浮かぶ。しかし,これらの手段より効率がよく,容易に実現できるのがWeb Cacheの機能である。

 Oracle Application Server 10gがもつWeb Cache機能では,HTMLやGIFファイルなどの静的なコンテンツはもちろん,JSPやServletなどが生成する動的コンテンツまでをキャッシュの対象とする(図4[拡大表示])。そのため,データベースに問い合わせを行い,その結果をコンテンツとして表示するようなWebアプリケーションであっても容易に高速化できる。これらのコンテンツがキャッシュされている場合,Web Cacheが素早くキャッシュを利用して応答し,時には圧縮して(通常Internet ExplorerなどのWebブラウザはデフォルトで圧縮コンテンツを要求し,自動的に展開する)転送を行う。キャッシュは常にメモリー上に格納される仕組みになっており,セキュリティ上の問題も発生せず,ディスクI/Oがボトルネックになることもなく利用できる。

図4●Web Cacheの仕組み
図4●Web Cacheの仕組み
10gからHTMLやGIFファイルなどの静的コンテンツだけでなく,JSPやServletなどが生成する動的コンテンツもキャッシュできるようになる。クラスタ環境では,セッションごとのキャッシュ管理が可能

データベースと同期し,キャッシュ管理を容易化

 さらに,圧縮データと非圧縮データの両方をメモリー上にキャッシュしてあるので,圧縮のオーバーヘットも発生しない。Oracle Application Server 10gのWeb Cache機能はデータベースと連動させることが特徴である。キャッシュされているデータに何らかの変更が加わったとき,データベース上のトリガーが起動し,キャッシュは自動的に無効化される。データベースと同期が取れるため,キャッシュの有効性(有効期間の)管理などが容易にできる。

 新機能ではロード・バランス機能とクラスタリング機能が強化され,Web Cache自身がクラスタ環境の場合のセッション・バインディングを可能にする機能や,キャッシュ・データの有効性管理において,複数のキャッシュ済みコンテンツの有効性を管理する機能を追加している。

(西脇 資哲=日本オラクル マーケティング本部 システム製品マーケティンググループ 担当シニアマネジャー)