NECが同社製品を扱っているシステム・プロバイダに中国でのソフト開発を推奨し始めている。既にNEC本体やソフト開発子会社のNECシステムテクノロジー(大阪市,高橋利彦社長)などが昨年1年間に少なくても3回,合計50社近くの販売会社やソフト開発会社を中国に連れて行った。

 加えて12月には海外事業などを担当するNECソリューションズの海東泰執行役員常務が東京都内のホテルに集まった全国の販売会社に向けて,中国のIT(情報技術)事業環境などを講演した。NECは傘下のシステム・プロバイダのコスト競争力を高めるには,中国での開発がいずれ重要になると判断しているようだ。

 NECは販売会社に対して,ハード・ビジネスからサービス・ビジネスへのシフトを訴えてきた。Express5800などのPCサーバーを扱う販売会社にすれば,競合他社と差別化を図るうえで原価低減は大きな材料になる。中国に開発をシフトし,販売会社が付加価値の高い上流工程を手掛ければ,NEC全体のシェアが高まるというシナリオを描いていると見る向きは多い。


開発要員を2003年に3400人に

 NECは現在,中国でのソフト開発を加速させている。94年6月にNECAS(NEC-CASソフトウエア・ラボラトリーズ),96年11月にNECSI(NECシステムズ・インテグレーション中国)という現地法人を設立済みで,中国でのソフト開発に乗り出している。

 北京に本社を置くNECSIは昨年7月に大連に開発センターを設置し,開発要員を2001年度に80人,2003年度には200人に増やす計画。NECASは西安に開発センターを設けており,2001年度に50人,2003年度は200人に増員する計画を打ち立てている。

 このほかにNECソリューションズが2社のソフト開発会社を中国に設立しているほか,複数の協力ソフト開発会社を抱えている。それら合計で開発要員は2000年の1200人から2003年には3400人にまで増やす計画だ(図)。NECが国内に抱える協力ソフト開発会社の総人数が1万5000人なので,日本の4分の1近い要員を中国で確保する勘定になる。

 現在,中国側の要員数は日本の10分の1だが,NECはここへの発注を積極的に推し進めたい考え。昨年の2月と10月にNECシステムテクノロジーが20社以上,さらに同年11月にはNECのパートナービジネス推進本部が有力販売店15社を連れて中国視察を実施している。

 北京,大連,上海のソフト開発会社数社に同行訪問した武田和生パートナービジネス推進本部長は「今回は社長,常務クラスが訪問したが『このままでは負ける』といったショックを受けたようだ。賃金が安いのは理解していたが,日本語の壁がなく仕様書も日本語で書くし開発環境も日本的になっていたためだ。ある従業員80人の会社では半数が日本語を話せるし,開発費用も1人月20万~25万円と言っていた」と話す。

 NECは,中国は脅威であると同時に積極的に活用する時代に入ったと見ている。NECの現地法人あるいはシステム・プロバイダ数社が国内に合弁会社を設立し,それらを経由して中国に発注する形態を検討している模様。開発コストは,日本の3分の1を見込んでいる。

(田中)