2月1日,Oracle9iデータベースの新価格体系がスタートした。2001年春のライセンス体系変更や競合他社の低価格攻勢で膨らんだ「Oracleは高い」イメージの払拭をかけての,戦略的料金である。新宅正明社長は「システム価格に占めるOracleの値ごろ感を形作っていく」とする。

 新体系のポイントは,プロセッサ・ライセンスを500万円/CPUに一本化しボリューム割引を廃止したことと,指名ユーザー・ライセンスの最小構成価格を250万円(25ユーザー)に下げるとともに日本市場独自の1万円/ユーザーのエンドユーザー向け追加料金制度を設けたこと,の2点。競合する日本IBMのDB2 UDBと比べ,プロセッサ・ライセンスでは従来最大4倍近かった差が2倍にまで縮まった。指名ユーザー・ライセンスでは小規模の場合Oracle9iのほうが安価になる。

 日本オラクルが新価格の設定で重視した基準は(1)ハード価格,(2)指名ユーザー数の実態,(3)競合の価格制度の3点という(図)。過去2回の価格改訂時の予測が外れ「ハード価格の下落が速かったのと,同時ユーザー数契約の中で実際に利用しているユーザー(=指名ユーザー)数が多かった」(日本オラクル)との反省がある。

 加えて,ボリューム割引やユーザー数に応じて変動する価格を「パートナが提案しやすいシンプルな体系にした」(日本オラクル)。間接販売率が高い日本市場では,パートナが日本オラクルに相談しなくても価格を提示できる仕組みが必要だった。

チャネルの売り上げは半減

 新価格体系へのユーザー企業の評判は「ユーザー企業に目を向け始めた」と概ね好評だ。保守料も,料率を変更しないので実質的な値下げになる。

 ただ販売パートナからは早くも悲鳴が上がっている。ある大手販売パートナの幹部は「シンプルな体系は評価できるが,仕切り率は同じなので,これまでの2倍売らなければ穴が空く。頭が痛い」と漏らす。

 日本オラクル自身は,データベース(DB)の売り上げ減を,サポート・サービスやERP(統合基幹業務システム)ソフトなどでカバーする計算だ。2002年5月期はDBライセンスが前年度比5.1%減の495億円に対し,ERPなどは同9.1%増の55億円,サポート・サービスは同36.3%増の258億円で,総売上高は同7.5%増(943億円)を見込んでいる。日本オラクルには直販強化の動きもある。

 新宅社長は「競合製品の話を持ち出した顧客は,Oracleから他に乗り換えるのではなく,低価格を引き出したいだけだ」と自信満々だが,パートナにすれば「Oracleの減少分はUDBで稼ぐしかない」(ある大手パートナ幹部)との判断も出てくる。日本IBMも「価格帯も利益還元力も近づいてきたので,製品特性や旧Informixとの相乗効果などを正しくパートナに伝える努力を強化する」と,従来にも増して気合いを入れている。

 新価格体系は,パートナに競争環境が生み出す現実を再認識させた。あるパートナ企業の幹部が言うように「ソフト・ベンダーの価格戦略に左右されない独自の価値を持つ」ことが,システム・プロバイダに改めて問われている。

(志度)