話題を呼んだデータセンターへの大型投資から約1年半。80社を超えるIDC業者の多くが集客に悩む中で,TISのIDC事業は堅調な滑り出しを見せている。しかし,営業力強化やコスト削減などの課題も山積している。

図1●TISのIDC戦略を支えるセンターの陣容。東京にあるメインフレーム向けとフロントエンド向けのセンターを高速回線で結び,ホストからWebサーバーまでシームレスに運用できるようにしている

 TISが100億円を投じて構築した東京第三センター(東京都江東区)の稼働から約10カ月。今年4月からサーバー・ホスティングのサービスを始めるシンガポール・テレコムをはじめ,インターネットイニシアティブ(IIJ),ソフトバンク,伊藤忠テクノサイエンス(CTC),コンパックコンピュータなどが顧客となり,今年1月時点で5000平方メートルある貸し出しスペースのうち約7割が契約済みになっている。

 供給過剰気味といわれるIDC(インターネット・データセンター)市場では,稼働率が30%を超えればいいほうと言われている中で,TISのIDC事業は軌道に乗ったといえる。しかし,IDC事業を統括する藤宮宏章常務金融・カード第2事業部長兼iDC事業部長は「IDC事業はまだ赤字」と苦笑いする。2002年度にIDC事業単独で黒字転換するのが目標だが,今後さらに競争が激化すると予想されるIDC市場でこの目標は達成できるのだろうか。

IDCはSIや運用ビジネスの延長

 船木隆夫社長は日ごろから「TISがIDCサービスだけを単体で提供することはない」と繰り返し語っている。「特定の顧客からシステム開発から運用,改善まですべて請け負わせていただくというのが当社のやり方。この方針は今でも正しいと思っている。もちろん,IDC事業もこの路線でいく。サーバーを大量に並べて『さあ利用してください』というような商売はしない」(船木社長)。  TISが描くIDC事業のイメージは,あくまでも「顧客の業務システムが肥大した結果,企業内だけでは対応できなくなり,IDCに依頼してくる」(船木社長)というものだ。「これまで当社はシステム運用ビジネスを手掛けてきたが,その事業範囲がメインフレームからクライアント・サーバーやWebサーバーにまで広がっただけだ。いわゆるドット・コム企業が使うような特殊なシステムだけがIDCで稼働するわけではない」(同)。

 データセンターの構造にも,こうしたTISの考えが色濃く反映されている(図1[拡大表示])。従来からメインフレーム向けに使っている東京第一センターと東京第二センターに加え,2001年8月に最新のIDCである東京第三センターの運用を開始して「統合アウトソーシング・ベンダー」(藤宮常務)への布石を打った。具体的には,東京にある3カ所のデータセンターをダーク・ファイバーで結び「メインフレームから部門サーバー,Webサーバーまで一貫してアウトソーシングできるようにしている」(藤宮常務)。

(佐竹 三江)