Webアプリケーション・サーバー市場の拡大が勢いづいている。既存システムを含めたアプリケーション同士を連携するWebサービスの時代が視野に入り,そのインフラストラクチャとしての期待が高まっているためだ。

図1●Webアプリケーション・サーバーの市場規模予測
出所:IDC Japan, 2001

 クライアント・サーバー型からWeb型へのシフトが定着してきたことで,Webアプリケーション(Web-AP)サーバー市場が伸びている。調査会社IDCジャパンによれば,日本のWeb-APサーバー市場は2001年に,前年からほぼ倍増した約473億円にまで成長。2002年は前年比47.7%増の約699億円が見込まれている(図1[拡大表示])。2005年までは30%前後の成長率が続くと予測する。

 Web-APサーバーの導入で先行したのは証券や銀行などの金融分野。オンライン証券取引サービスなどのEC(電子商取引)サイトの基盤としてだ。それが最近は,製造業や流通業,官公庁などにまで導入は広まり「もはやユーザーの業種に偏りは見られなくなった」(サン・マイクロシステムズの中井雅也iPlanet事業統括本部製品部プロダクトマーケティングマネージャ)。

 企業の通信インフラが高速化していることも,Web-APサーバー市場の拡大を後押ししている。日本IBMの大古俊輔ソフトウェア事業部WebSphere事業推進部長によれば「これまで,Web-APサーバー上のアプリケーションは動作が遅く,素早いレスポンスが求められる業務には使えないというのが共通認識だった」。それもADSL(非対称ディジタル加入者線)や光ファイバーといったブロードバンド(高速大容量)回線の普及により,ネットワーク経由でも必要なレスポンスが確保できるようになってきた。

BEAとIBMが抜け出す

 成長するWeb-APサーバー市場だが,WebLogic Server(米BEAシステムズ製)とWebSphere Application Server(米IBM製)の強さが鮮明になっている。2社合計のシェアは40%前後と見られている。Web-APサーバー用アプリケーション開発の業界標準J2EE(Java2エンタープライズ・エディション)への対応速度の違いが両製品が他社を引き離した理由とされる。

 WebLogicは松井証券や丸三証券のオンライン証券取引システムなどに利用されている。最近は製造業や流通業の伸び率が大きくなってきた。日本BEAシステムズの福島徹エンタープライズ営業本部長は「業界の大手企業には当社が直接営業し,業界特化の仕組みを提案していることが効いていた」と見る。今後は「その事例を武器に業界内で拡販していく」戦略を採る。そのため,パートナの技術者向けセミナーも月1~2回のペースで開催し,技術者支援に力を入れている。

表●国内で販売されている主なWebアプリケーション(Web-AP)サーバー製品の販売状況と拡販策
HTML:ハイパー・テキスト・マークアップ言語
ISV:独立系ソフト・ベンダー
(日経システムプロバイダ調べ)

 一方,WebSphereはアコムやぴあ,丸井などがECサイトに使っている。「特にハード・メーカー系パートナを経由して,IBM単独では食い込めなかった官公庁市場での売り上げが伸びている」(大古部長)という。日本IBMもWebSphere関連で3種の技術者認定制度を展開し,技術者のすそ野拡大を図る。2002年中に認定技術者数を1000人以上に増やすのが目標だ。

 これら2製品を,他社が追い掛ける格好。各社に共通する追随策が,自社製Web-APサーバー上で動作するアプリケーション・パッケージの品ぞろえの強化だ([拡大表示])。業務・業種パッケージの切り口で勝負を挑みたいからだ。

 Cosminexus Application Server(日立製作所製)が,その代表例。吉野松樹ソフトウェア事業部ネットワークソフトウェア本部第2ネットワークソフト設計部長は「流通業向け販売管理など,メインフレーム用パッケージの中から売れ筋の商品を順次,Cosminexusに移植していく」と戦略を話す。

(松尾 康徳)