企業の文書をデータベース化して提供する文書管理サービスに 原本を倉庫で管理するサービスを付け加える動きが広まっている。 ユーザー企業も危機管理対策の一環として原本の管理まで視野に入れ始めた。

図1●原本管理付き文書管理サービスでは,電子化を終えた後の文書もまとめて管理し,顧客の要望に応じて取り寄せられる
 「『文書管理のシステムは構築します。しかし,原本の管理はご自身でお願いします』というのでは,本当の意味でのソリューションにはならない」。文書管理のASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)サービスnsx pres.comを展開する新日鉄ソリューションズ(NSソリューションズ)の山本義明ネットビジネスソーシング推進部長はこう話す。

 ビジネス活動に伴って大量に発生する書類や図面をデータベース化し,パソコンなどの端末から検索・閲覧できる文書管理サービスそのものは新しくないが,最近,データ化した書類の原本を倉庫で保管するサービスも追加した「原本保管付き文書管理サービス」が脚光を浴び始めた。

文書の電子化だけでは不十分

 これまで文書管理サービスといえば,ユーザー企業から文書を預かり,それらにインデックスを付けるなど管理しやすいように仕分けした後で,スキャニング処理してデータ化していた。電子化された文書はデータベースとして,ユーザー企業の情報システムに組み込むか,あるいはASPでユーザー企業の社員が必要に応じてWebで検索し,ダウンロードできる。

図2●原本管理付き文書管理サービスを提供する両社の事業内容と今後の計画

 文書の検索・閲覧は極めて容易になったが,原本の管理をどうするかという大きな問題が残っていた。これまでの文書管理サービスでは,原本は基本的にユーザー企業にそのまま戻され,管理はユーザー企業に任されていた。

 原本を自社内で保管するとなると,ある程度のスペースを確保しなければならない。ただでさえ景気低迷でオフィススペースの節約が求められている時代に,文書保管のためのスペースを確保するのは非現実的だ。

 ユーザー企業の中には,管理体制の行き届いた倉庫会社のトランクルームを利用するところもあるが,倉庫会社は顧客の機密を保持するため書類を納めた段ボール箱単位でしか倉庫から出し入れをしない。そのため,ユーザー企業は文書をデータベース化するのとは別に,どの箱にどの書類を納めているのか管理する必要があった。

表●文書管理サービスはその方法により一長一短がある

 原本保管付き文書管理サービスは,ユーザー企業に代わって原本の管理まで手掛けるもの。文書を電子化してデータベースにするだけでなく,倉庫会社と提携して原本をトランクルームで管理する。電子化した文書をダウンロードして入手するのと同じように,倉庫に保管している原本も,必要があれば1~2日で取り寄せられる。

 NSソリューションズが2001年4月からASP形式でサービスを始めたnsx pres.comは,原本保管付き文書保管サービスの代表的な存在。月額20万円で50人分のアカウントを発行し,ユーザーは必要な書類をWeb上で検索して,すぐに閲覧することができる。開始1年半弱でサービスを利用するユーザー企業は55社にのぼる。2003年3月末までには80社に増やし,来年度には単年度での黒字化を見込む。

 このnsxpres.comでは,トランクルームによる原本の保管サービスをオプションとして用意している。ユーザー企業の半数がトランクルームのサービスを利用する。中でも,財務書類や契約書などを管理しているユーザー企業の利用が多い。

 NSソリューションズは,現在,住友倉庫と丸和運輸の2社と提携してトランクルームを運営している。日本通運と提携してトランクルームを各地に展開する準備を進めているほか,地方の倉庫会社や運輸会社とも提携する計画も立てている。

(松尾 康徳)