ユーザー企業のIT(情報技術)投資が落ち込む中で「従来品の10分の1」といった大幅な低価格を武器に営業攻勢をかけるITサービス企業が登場している。果たして勝算はあるのだろうか。

 ユーザー企業のIT投資が冷え込み,閉塞感が強まっているITサービス業界。ほかの業界と同じように,この業界でも低価格を武器に営業攻勢をかける動きが急速に広まっている。中には,これまでの10分の1という驚くべき価格で売り込むITサービス企業も現れた。

 EDI(電子データ交換)パッケージなどを手掛けるデータ・アプリケーション(東京都中央区)はその一つ。橋本慶太社長は「外資系EAI(エンタープライズ・アプリケーション・インテグレーション)ベンダーの製品は,もともと本国の大企業向けに開発されたもの。中堅・中小企業にもEAIを使いたいというニーズはあるのに,手を出せないような価格設定になっている」と話す。

 データ・アプリケーションが今年5月に発売したEAIソフトACMS EAIの価格は,これまでのEAI製品と比べると大幅に安い。EAI製品の多くは単体でも数千万円単位であるのに対し,同社のACMS EAIの価格は基本機能版で100万円から,上位版でも400万円からと圧倒的に安い。ライバル製品に比べて価格が大幅に安いため,ユーザー企業の人気は上々。例えば,住友商事はメインフレームをオープン・システムに切り替えるのに当たって,既にACMS EAIを採用することを決めた。

外資系が強いEAIは割高に

 ERPやCRM(カスタマ・リレーションシップ管理),SCM(サプライ・チェーン管理)など様々なソフトがある中で,EAI市場は外資系ベンダーのシェアが極めて高い。外資系ベンダーが価格決定権を握っているため「少し高いというのではなく,とんでもないほど高く設定されている」と橋本社長は憤慨する。

 EDIを手掛けていた同社は,中堅企業がEAIを導入しようとしても,価格が高いことから断念せざるを得ないケースをいく度となく見てきたという。「外資系ベンダーと代理店契約を結んでいる限り,価格を自由に設定できない」と考えた橋本社長は,中堅企業でも導入できるような安価なEAIソフトの開発に乗り出すことを決めた。

(松尾 康徳)