2003年3月期の中間決算で大幅な減収減益に陥った伊藤忠テクノサイエンスが、2003年度からのリバイバルをかけた施策立案を急いでいる。より顧客志向の体質に変わるためだ。

図1●伊藤忠テクノサイエンス(CTC)の連結売上高と連結営業利益の推移。
2000年度(3月期)と2001年度の業績を特異点と見ても、2002年度の見込み額は最低ラインになる。だが、その達成にも黄色信号が灯っている
 2002年末時点の伊藤忠テクノサイエンス(CTC)を指して「既にピークを超え、体内時計の針は午後2時を回ってしまった」との声がある。そうした指摘に対し、後藤健執行役員営業・技術統括補佐は「確かに午後2時を過ぎているかもしれない。だが、それはIT(情報技術)業界全体のポジションなのだ。CTCは、その中から浮上するための計画を、今まさに取りまとめている最中だ」と反論する。

 2002年11月にCTCが発表した2002年度(3月期)中間決算を見ると、連結売上高が前年同期比24%減の約1238億円で、連結営業利益は同68%減の約40億円にとどまった。3.2%という営業利益率は、大手システム・プロバイダの中では下位グループに転落する。

 ただ2002年度通期では、連結売上高は同5.8%減の3231億円に、営業利益は同21%減の171億円にまで持ち直すとの見通しだ。日本中が携帯電話やブロードバンド(高速大容量)といったITインフラ整備にわいていた2000年度と2001年度の同社業績を特異点だと見れば、1999年以前の成長路線上に戻るともいえる(図1[拡大表示])。それだけに「2002年に踊り場を迎えたCTCがもう一度上昇するのか、そのまま転落するのか。2003年が試練の年になる」と見る業界関係者は少なくない。

強すぎた商材が組織を硬直化した

 当然、CTCも業績回復に向けて手をこまぬいていたわけではない。2001年10月には営業体制を、従来の個別製品単位からCRM(カスタマ・リレーションシップ管理)やセキュリティ、コンテンツ(情報の中身)といったソフト/サービス中心に変更。2002年は「サンやオラクルの顧客でなく、CTCの顧客を獲得する」ことを掲げての営業推進に取り組んできた([拡大表示])。

 CTCに近い複数の業界関係者の意見を集約すると、それでも効果が上がっていないかに見える最大の理由は「成功体験が生んだ組織・人材の硬直化」にある(図2[拡大表示])。加えて、1999年12月のIPO(株式の初回公開)前後から、IT事業の拡大に期待せざるを得ない親会社である伊藤忠商事の介入が増え「管理体制の強化につながり、顧客志向への転換速度を鈍らせた」(CTCに商材を提供するあるベンダーの幹部)こともあるようだ。

表●ソフト/サービス事業の強化に向けてCTCが2002年に打った主な施策。
基幹システムを対象にした業務提携や新組織が増え、ERP(統合基幹業務システム)などのソフトを強化している
 
図2●CTC内部や取引先企業が指摘するCTCの課題
(渡辺 一正)