Webサービスの普及に向けて米国の有力企業が動き始めた。レガシー・システムを標準技術に切り替える動きが加速し、アプリケーション統合市場などに大きな変化を及ぼす。

 「Webサービスの構築はソリューション・プロバイダにとって、かなり先の話だと考えているならば、その認識は甘い」と、Webサービスの構築で先行する米ITコンサルティング企業、ベルテックのブラット・マーフィ上級副社長はこう警告したうえで、次のように話す。「低迷する経済環境下で顧客はIT投資に慎重になり、しかも短期間に投資効果が表れることを要求する。こんな厳しい環境から抜け出す唯一の道がWebサービスだ」。

 同氏が指摘するように、Webサービスが普及するとこれまで数年単位で表れた投資効果がわずか四半期単位で見えてくるようになるといわれる。Webサービスはコスト効果と標準技術という二つの命題をIT業界に投げ掛けた。

 Webサービスによってオンラインで様々な業務システムとデータを交換できるので、標準技術のJ2EE(Java2エンタープライズ・エディション)やXML(拡張マークアップ言語)、SOAP(シンプル・オブジェクト・アクセス・プロトコル)などの流れに乗ることをソリューション・プロバイダは余儀なくされる。プラットホームに関係なく、顧客はデータをXMLに変換すれば、いかなるシステムとも情報を交換できる。

利益を伸ばす現実のシステムに

 電子商取引コンサルティング企業であるECナウ.comのミッチェル・レビィCEO(最高経営責任者)によれば、Webサービスが実用化されると、顧客とそのビジネス・パートナはレガシー・データにアクセスできるようになり、複雑なトランザクション処理も自動化される。既存のビジネス・プロセスを変更しなくても、利益率の高いビジネスに転換することを保証する。「Webサービスが夢のシステムではなく、利益を大きく伸ばす現実のシステムになった」(レビィCEO)。

 事実、米国の中堅企業や大企業のWebサービスに対する取り組みは、ITサービス業界の想像よりはるかに進んでいる。フラッシュラインの調査によると、米エンタープライズの3分の1がWebサービスの構築に着手し、半分近くが採用を検討中だ。Webサービス・アクセスのUDDI(ユニバーサル・ディスクリプション言語)レジストリ利用も既に10%を超え、利用を検討しているのは55%にのぼる。

(辻本 修=ITジャーナル主幹、北川 賢一)