日立情報システムズは、不動産会社のリテック・コンサルタンツの業務システムを再構築した。すでに競合約10社が提案を終えていたが、業務を鋭く分析したプレゼンテーションで、商談を勝ち取った。

 「全部で10社くらいに提案してもらったが、わが社の業務を一番理解して提案してくれた」。中堅不動産会社、リテック・コンサルタンツ(東京都文京区、齊藤敏博社長)の北村陽一経理部経理企画課課長代理は、2002年10月に稼働した基幹業務システムの構築を担当した日立情報システムズをこう評価する。

 リテックは、設計事務所を母体に1980年に設立。東京都内を中心に、分譲マンション「デュープレックス」の企画・設計、販売などが主力事業だ。このほかにも、不動産賃貸や建築工事の設計・施工・管理、建築資材の販売など幅広い事業を展開している。

 リテックが、業務システムに採用していたのが、パソコン量販店などで販売されている会計ソフト「勘定奉行」だった。その用途は経理部で行う経理処理などに限られていた。販売管理用には、表計算ソフトのExcelを活用していた。

 販売管理と会計は連携しておらず、販売管理側の入力と会計側の入力という二度打ちの手間も発生。販売データは、利用次第では市場や原価情報の傾向把握など戦略的に活用できるが「このままでは経理部内だけのシステムにすぎない。全社的にデータを有効活用したかった」(北村課長代理)。

10社の提案にも納得せず

 「経理処理だけではなく、その他の業務システムと連携してデータを加工して再利用できる仕組みを整えるには、ERP(統合基幹業務システム)の導入しかない」。リテックはこう判断して、2001年8月ごろからERP導入の検討に入った。

 ソリューションプロバイダからERPソフトのデモや導入するシステムに関する提案を受けた。ところが、リテックの思惑とは、ずれがあった。

 ソフトの機能説明ばかりだったり、不要なハードの売り込みも目についた。あるソリューションプロバイダは、会計と販売管理で別々のサーバーを立てて運用管理することを提案してきたが、北村課長代理自身が、以前勤務していた企業でERP導入の経験があり「大規模システムならともかく、当社の規模のシステムならサーバー1台で十分」だと分かっていた。不動産業界に導入経験があるソリューションプロバイダもあったが「以前構築した時の先入観があったためか、うちが考えていたようなシステムとは合わなかった」(北村課長代理)。

 検討してから3カ月が経過した10月に入り、気が付けば、提案するソリューションプロバイダは約10社を数えた。だが、どの社もリテックの首を縦に振らせることはできなかった。「うちの業務を理解して提案してくれるソリューションプロバイダはいないのか…」。北村課長代理は頭を抱えていた。

タイムリミットは1週間

 複数のERPソフトを検討した結果、リテックが最も関心を持っていたのが、エス・エス・ジェイ(東京都品川区、佐藤祐次社長)のSuperStreamだった。デモを見て、「他システムとの連携などで柔軟性があって使いやすい」(北村課長代理)と判断したからだ。

 SuperStreamの販売パートナーを紹介するWebサイトで、たまたま目にとまったのが日立情報システムズだった。リテックは日立情報と付き合いはなかったが、会社概要などを調べ、事業規模、商品やサービスの豊富さから信頼できそうだと判断し、問い合わせた。

 2001年の10月下旬、日立情報はリテックを訪問し、どのようなシステムを構築したいのかについて聞き取った。得たキーワードが「販売管理」だった。

(中井 奨)