主要ベンダー各社がソリューションプロバイダへのラブコールを強めている。各社の製品をITとしてではなく“ソリューション”として顧客に提案できるのは、顧客の側にいるソリューションプロバイダにほかならないからだ。
ただし、すべてのパートナーが手厚い支援を受けられるわけではない。その選択基準は販売量重視から、ソリューション開発力や提案力といった質の重視に変わる。
ソリューションプロバイダは、複数ベンダー製品を組み合わせた自らの商品を開発・検証できる技術力と、それを提案できる人材育成が不可欠だ。それは、自社の得意技を明確にするという“経営ビジョン”に直結する。

 「当社がパートナーと呼ぶのは、インターネットを核にした商品を作り出すための“仲間”のこと。顧客が選ぶ“ソリューション”を作るには、インフラを提供する当社と、その味付けとなるISV(独立系ソフトベンダー)、そしてソリューションプロバイダの3者による協業が不可欠だからだ」。

 サン・マイクロシステムズの末次朝彦常務iForce営業担当は、同社が重点課題に挙げるソリューション営業におけるパートナーへの期待をこう語る。サンは2004年6月期、営業体制を250人規模にまで拡大し顧客への直接営業を強化。「単なるコンセプトにとどまらず、実際に導入し効果を上げた実績を、その実証にかかわったパートナー企業とともに売り込んでいく」(末次常務)と力を込める。

実証済みソリューションがほしい

 サンだけではない。日本オラクルやマイクロソフトなどソフトベンダーを含め、主要ベンダー各社のパートナー戦略担当者のだれもが「ISVとソリューションプロバイダとの協業なしに今後の成長は望めない」と口をそろえる。

 その背景には(1)オープンシステムによる選択肢の広がりが逆に、システムの複雑さを増していること、(2)顧客ニーズが経営改革やROI(投資対効果)重視など、ITそのものよりも業務の視点を強めていること、などがある。ベンダーにすれば、製品の開発に集中し競合他社との差異化を図る必要があるが、製品・技術そのものの特長を訴えれば訴えるほど、顧客が持つ経営視点から遠ざかるというジレンマに陥る。

 だからこそ各社は、eビジネスオンデマンドやSunONE、.NETといったコンセプトやフレームワーク(枠組み)を掲げ経営視点のメッセージを強調する。その一方で、それらを現実的な“ソリューション”に仕立て上げるための補完機能をパートナー、中でもソリューションプロバイダに求める。

 その理由を日本HP(ヒューレット・パッカード)の玉利裕重マーケティング・ソリューション統括本部ESGマーケティング本部エンタープライズパートナーマーケティング部長は「組み合わせの動作検証はベンダーだけでできる。だが、現実の顧客ニーズにどれだけ合致しているのかは、ソリューションプロバイダなしには検証できないため」と説明する。

 日本IBMの安田誠理事ソフトウェア事業クロス・ブランド事業推進担当も「パッケージの普及で、ERP(統合基幹業務システム)ソフトですら既に“レガシー”になっている。今後は、コモディティ(日用品)化が進むミドルウエアを含めたインテグレーションがますますキーワードになり、検証済みの“信頼感”が不可欠になる」と強調する。ベンダー各社がこぞって、動作検証センターを開設し、パートナー各社に開放するのは、このためだ。

国産大手は“オフコン型回帰”

 複雑さがキーワードに浮上したことで、製品開発やパートナー戦略に勢いを取り戻してきたのがNEC、富士通、日立製作所の国産メーカー。VALUMO(NEC)やTRIOLE(富士通)、Harmonious (日立)など各社が独自に開発・検証したミドルウエア群を前面に押し出せるようになるためだ。

 VALUMOやTRIOLEといった集合体は、データベースやWebアプリケーションサーバー単体での機能や性能の比較、ブランド力の差を隠蔽する。ハードからミドルウエア、さらには重点商品の一つに位置付ける自社製ERPソフトまでを「動作検証済みアプリケーション構築プラットホームに位置付け、パートナーへの採用拡大を図る」(富士通の堀切達也マーケティング本部パートナー支援統括部長)。過去に一時代を築いた“オフコン”の色彩が強くなる。

 実際、NECは全製品を対象にパートナー対応窓口の一本化を進める。約200人いるパートナー営業担当者全員に7月からハードの専門家教育を実施。今後はミドルウエアの専門家教育も展開する。富士通も全国46カ所にある元ショールームのSolutionStageをパートナー各社の検証・デモ拠点として開放する。TRIOLEなど重点商品のサポート拠点の機能を持たせていく。

 NECの細谷豊造パートナービジネス営業事業本部長は「既存のパートナーの意識をガラリと変えるのは得策ではない。動作検証など設備投資がいる部分を代行し各社のいいところを生かせば、NECパートナー全体としての強みが生まれる」とする。

 中堅・中小企業市場開拓に向け「NEXT15002」戦略を打ち出す日立にしても「製品事業を拡大するために、顧客情報をパートナーと共有し日立グループとして市場を開拓する」(田中忠文パートナー営業統括本部ビジネス企画本部パートナー企画部部長)と狙いは同じだ。

(志度 昌宏)