
「長引く不況は、情報システム子会社にとっては極めて幸運。親会社に囲われることもなくなるし、顧客も良いシステムで安ければ受け入れてくれる」(ニッセイ情報テクノロジーの桑折雅嗣副社長)。
「ユビキタス時代になれば、業務系と制御系が一体になった今までとは違うシステムのニーズが生まれる。我々のリソースもそこで生かせる」(テプコシステムズの小口俊夫社長)。
情報システム子会社の自立に向けた新たな胎動が始まった。それは、単に外販を拡大し上場を目指すか、あるいは自立できずに売却されるかといった従来の二者択一論でとらえられるものではない。ITサービス業の事業環境の変化をとらえ、既存のソリューションプロバイダの強力なライバルとして勝ち残りを目指す企業が、続々と登場しているのだ。
システム子会社持つ企業は16%
本誌は、システム子会社の実態を知るために、一連の調査を実施した。まず9月上旬に、取引所上場企業2525社を対象に電話で、システム子会社の有無を問い合わせた(図1-1[拡大表示])。結果は、回答を拒否した企業を除く2185社のうち、システム子会社を持つ企業は348社で全体の15.9%だった。情報システム部門の機能分社が意外に少ない実態が浮かび上がった。
これら348社が持つシステム子会社と、本誌が把握するそれ以外システム子会社258社を合わせた606社に対して、自立に向けた取り組みを聞くアンケート調査を9月中旬に実施した。120社から有効回答を得た。そのうち外販比率は、5割以上とする企業が31.7%なのに対して、1割未満、もしくは外販をしていない企業が25.8%。企業ごとに外販への取り組みに大きなばらつきがあることが明らかになった(図1-2[拡大表示])。
外販比率の引き上げに向けた課題では「ソリューション提案力の強化」や「コンサルティング能力の強化」が必要という企業が5割を超えた。多くのシステム子会社が、親会社から言われたことだけをやる受け身体質を自覚し、脱却を模索する姿が見てとれる。