情報サービス産業協会(JISA)の佐藤雄二朗会長が創業した アルゴ21の2003年9月中間期決算は減収減益。下請け構造 からの脱却を目指すが、改革の道のりは想像以上に険しい。

 東京都中央区勝どきにあるアルゴ21の本社。10月17日、200人余りの社員がある部屋に集まった。この日は、2003年9月中間期決算についての説明会の開催日。大岡正明社長は今年の新入社員の研修態度を批判してから、こう言い放った。「やる気がないなら、辞めてもらって結構だ」。

 大岡社長がいら立ちを隠せなかったのも無理はない。2003年9月中間期決算は減収減益。連結売上高は113億3000万円と前年に比べて6%減り、連結営業利益は3200万円と77%減少し、通期決算の下方修正を迫られた。2003年3月期を底にV字回復を宣言していたが、出鼻をくじかれた。

金融機関向け事業が不振に

 減収減益になった要因の1つは、単独売上高の6割強を占める主力のシステム開発事業の不振。最大の比率を占める金融機関向けの売り上げが23億6100万円と前年同期に比べ27%減少した。また、昨年から顕在化し始めた不採算案件が予想以上に発生したことも響いた。2003年3月期に着手した案件のうち、2003年4~9月期だけで1億6000万円の損失を出した。

 アルゴ21にとって、野村総合研究所(NRI)や電通国際情報サービス(ISID)などから受託したシステム開発事業が大黒柱。金融機関向けの売り上げが占める比率が高いのはそのためだ。受託開発を主力にする同業他社と同様、NRIやISIDなど上位5社からの売り上げが7割強を占めている。

 これまで上位5社から請け負っていたシステム開発は安定した収入源だった。しかし、2003年9月中間期ではこのシステム開発事業が大きく足を引っ張った。情報システムに対する金融機関の投資が予想以上に冷え込み、NRIなどの元請けからの仕事量の減少や、単価の下落がシステム開発事業の不振を招いたとみられる。

 もっとも、下請け企業である限り、元請けの都合によって仕事量の減少や単価の下落を招くのはいたしかたない。このことはアルゴ21も十分に認識していた。数年前から元請けとして顧客を直接獲得することに力を注いできた理由がここにある。

 しかし、84年の創業以来10年余りにわたって染み付いた“下請け体質”の改善は思うように進んでいない。今でも営業力は決して強くないうえ、元請け企業としてのプロジェクト管理能力も十分ではない。その証拠に、システム開発事業のうち、元請けとして契約を結んだ案件の売り上げは約2割にとどまるほか、不採算案件の多くは元請けとして直接獲得した顧客からのものとみられる。

 大黒柱であった金融機関向けシステム開発事業が落ち込んだうえ、期待していた顧客との直接取引でも赤字を出し、アルゴ21は八方塞がりの状態に陥っている。それでも、大岡社長は「目指している方向に誤りはない。これからもNRIやISIDから請け負った開発を手掛ける一方で、元請けとして顧客の開拓も進めていく。ただ、プロジェクト管理などでツメが甘かったところはある。こうしたところを改善していけば、業績は回復する」と強気な姿勢を崩さない。

 業績回復の切り札として大岡社長が期待を寄せるのが、「プライムパートナー戦略」と「プライムコントラクター戦略」である。このうち、プライムパートナー戦略は、NRIなどの元請け企業から最も信頼される下請けになるというもの。これまで下流工程にとどまっていた協力の範囲を上流工程にまで拡大し、元請け企業にとって不可欠な存在になることに狙いがある。

 NRIと今年3月から実施しているeパートナー契約はその象徴といえるものだ。NRIもeパートナーが要件定義の策定や基本設計など上流工程からプロジェクトに参画することを望んでいる。2年ごとにeパートナーとの契約を更新する際、NRIはeパートナーの提案力も評価の対象にする。提案力を磨くため、アルゴ21は今年11月、元請け企業向け事業を担当するSIサービス事業本部に企画管理統括部を設置した。

(森重 和春)