NECシステム建設の鳥海政洋は、“IP”をキーワードにした提案営業で腕を振るう辣腕営業マン。上司から「提案力はピカイチ。通信というこれまでの守備範囲から、ITの領域に広げようとしている当社にとって道しるべ」と評価はすこぶる高い。

 提案営業に取り組むようになったのは10年ほど前から。ある中堅企業の担当者から「当社の業務改革に力を貸してくれないか」と持ちかけられたのがきっかけ。「互いに新しいことをやりたいという思いで意気投合した」と鳥海は振り返る。

 二人で力を合わせ、通信設備のランニングコストやシステム構成、オペレーションを徹底的に調査し、コスト削減策や業務改善策を提案したところ、顧客の経営陣の支持を得て、大きな成果を上げることができた。顧客にカタログを見せ、見積もりを出すという営業スタイルをとっていた鳥海にとって、大きな転機となった。

 鳥海は「自分の役割は、顧客のパートナーとなってリードすること」と断言する。だから、顧客の要求に異論があれば、提言することも厭わない。1年ほど前に受注した大手出版社の案件はその典型といえる。音声系システムを入れ替え、コールセンターを構築するという顧客の希望に対し、ライバル企業は顧客の要件を満たした手堅い提案をした。だが、鳥海には顧客の予算や現状を考えるとライバル企業の提案は最善とは思えなかった。そこで、いきなりコールセンターを構築せず、当面は業務手順の改善を中心にして、システムの導入は段階を追って進めるという提案をした。当初、コールセンターの構築を急ごうとする顧客と意見が対立したが、ねばり強く説得し、最終的に受注することができた。

 そんな鳥海だけに、「たとえ注文が取れても、自分の思いに反したものを納入した時は、会社の業績には貢献できたが、満足できない」と語る。反対に「顧客と十分に議論し、自分の考えを伝えられた時は、受注できなくても満足してしまうんです」と冗談交じりに話す。

鳥海 政洋(とりうみ まさひろ)氏

NECシステム建設
ソリューション営業本部 流通・サービスパートナー部主任
1966年2月、千葉県生まれ。駒沢大学経済学部を卒業し、1989年4月、NECシステム建設に入社。以来、営業一筋で、2001年7月から現職。根っからのスポーツマンで、趣味はマラソンと格闘技。柔拳法は黒帯の腕前で、毎週、道場に通ってストレスを発散する。「礼に始まり、間合いが肝心なところは、営業の仕事と同じ」とか。



文中敬称略=(森重)