アウトソーシングに新しい波が来た。BTOというバックオフィスの効率化にITを活用するアウトソーシングだ。急速に立ち上がると見られる一方、ITアウトソーシング市場も色あせてはいない。

 2月27日、日本IBMが東京・赤坂で開いたIBMフォーラムで、セッションの一つが同社サービス事業の競合ベンダーに占拠された。セッション名は「企業変革を実現するBTO(ビジネス・トランスフォメーション・アウトソーシング)」。顧客企業向けにもかかわらず、同業他社が約4割を占めた。講師を務めた日本IBMの下野雅承常務執行役員BTO事業担当は、「BTOは日本IBM社内でも市民権を得ていない新領域の事業なのに」と、競合ベンダーからひと足先に市民権を得てしまった様子に驚きを隠さない。

 同フォーラムの5日前に、日本IBMが三井生命保険からコールセンター業務を10年間、360億円で受注したことが、日本初の大型BTO契約として報道されたことも、競合ベンダーの関心を高めたようだ。

年率12~13%で成長する

 BTOがクローズアップされたのは、ITサービスを手がける米アクセンチュアが2002年春に米AT& Tとの間で交わした売り上げ管理など数十億ドル規模の「業務改革アウトソーシング(BTO)」から。経理や人事、購買、コールセンターなど、オフイスの間接業務を切り出し、その処理を引き受けるBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の発展形だ。90年代を通じて普及したITアウトソーシング(ITO)とは全く性質を異にする。

 BTO単独の市場規模を示す数字はない。調査会社各社はBTOをBPOに含めて捉えているからだ。例えば、米ガートナーは世界のBPO市場は04年に8%拡大し1210億ドル(13兆3000億円)と予測。07年に1730億ドルになるとする。年率12 %増だ。一方、従来型ITOの市場規模は04年が1870億ドル(20兆5000億円)とする。BTO/BPOはITOの6割強の規模になる。

 これに対して、米IBMはもっと大きな市場を描く。04年が1500億ドル(16兆5000億円)とし、07年にはガートナーが予測するITOの2322億ドルときっ抗する2160億ドル、09年には2760億ドルを期待する。そのためIBMは、新生市場での地位強化を狙い02年秋、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)のコンサルティング部門を35億ドルで取得。02年10月にe-businessオンデマンドを立ち上げた際の戦略ビジネスの柱に位置付けた。

 そして03年秋には、アクセンチュアやBPO専門の米コンバージズと争い、米P&Gから10年間で4億ドルのBTO契約を勝ち取った。これがIBMにとって最初の大きな契約だ。最近は、米通信事業者のスプリントから20億~30億ドル規模のコールセンター業務を5年契約で受注した。

 ITO市場の伸び率8%から類推すると、年率12~13%増のBTO/ BPOは、09年までにITOを逆転する勢いだ。米ゴールドマン・サックスはIBMのBTO/BPO売り上げを03年23億ドル(2530億円)、04年は倍の45億ドルと見ている。それでも04年に、IBMのシェアは3%にすぎない。

(北川 賢一)