アパレル業界はデフレの波や海外ブランドの攻勢にさらされ、厳しい環境に置かれている。しかし、市場が縮小する過程で淘汰が進み、生き残った「勝ち組」のIT投資意欲は旺盛だ。RFIDの実用化に向けた実験の結果も出て、普及に弾みがつけば新たな需要の起爆剤になる可能性もある。

 アパレル業界は、生き残りをかけ熾烈な戦いを繰り広げている。ユニクロに代表される低価格品の台頭や海外有名ブランドの進出が相次ぐことなどが背景にある。

 矢野経済研究所によると、日本の繊維産業の国内総市場は2002年に40兆3613億円と前年の42兆5835億円を下回り、「以前ほどの大きな落ち込みはないものの縮小傾向にある」(日本アパレル産業協会)との見方が強い。勝ち組と負け組との格差は広がっており、増収増益を達成した勝ち組でさえコスト削減によって利益をねん出しているところが多い。ひとまずコスト削減の効果は表れたが、今後は売り上げを伸ばすことが課題だ。

 このため、コスト削減にとどまらず、売り上げの拡大に直結するような情報システムへの関心が高まっている。オンワード樫山が今年6月から始める新しいSCM(サプライ・チェーン・マネジメント)システムの実証実験は、その好例だ。

販売までの期間を3日短縮

 中国の工場で生産した商品を日本で販売するまでに、これまで検品、検針、商品を店舗別に仕分けるアソートといった作業を中国と日本で別個に行っていた。それを中国で実施する検品や検針作業の精度を日本と同水準にすることで、生産から梱包まで一連の作業を中国で行い、日本では入庫のチェックだけで商品を店頭に並べる仕組みだ。作業の重複がなくなることで、コスト削減が図れるだけでなく、生産してから販売までの期間を3日間ほど短縮できる。

 アパレル業界では、小売店に出荷するまでの期間の短縮は大きな意味を持つ。「アパレル業界が扱う商品は、生鮮食料品と同じで、“鮮度”が悪くなると売り物にならなくなる。顧客が必要としている時に、商品を提供できるかどうかが勝敗の分かれ目になる」と、オンワード樫山の佐竹孝SCM推進部長は強調する。

(中井 奨)