「これまで(売り上げ目標の)数字を達成できなかったことはない」。その秘訣を国居は「とにかく顧客の疑問や要求には素早く対応することだ」と断言する。「顧客だって暇ではない。素早く回答できれば、彼らも気持ちよく通常業務に取り組める」。結果、商談も進む。

「できれば、その日のうちに」が国居が自らに課す回答期限。そんな“スピード回答”を可能にするために国居が実践するのが、1つひとつの仕事の難易度を吟味し優先順位を付けること。優先順位に沿って仕事を片づける。その際の基準の1つになるのが、その仕事をこなすのに何人の協力が必要かだ。社内の技術者やパートナー企業とも相談しなければならないような仕事ほど優先順位は高い。1人でできる仕事は後回しにする。

 だからといって国居は夜遅くまでオフィスにいるわけではない。むしろ「できるだけ早く帰宅することを心掛けている」という。遅くまで残業する癖を付けてしまうと、例えば、技術者と相談したくても、その技術者が帰ってしまったら「ただ、だらだらと会社で時間をつぶすだけ」。顧客に再確認するにしても、夜遅い時間に先方がつかまればよいが、それでも「仕事を中断させることになり迷惑になる」との思いが強い。

 顧客への回答を先延ばししないためにも、国居は社内の技術者やパートナー企業の担当者などとの関係作りに労をいとわない。一度仕事をした相手との挨拶は欠かさないし、一緒に飲みに行ったりもする。彼らとの協力関係があるからこそ、国居が付けた優先順位に合わせて技術者やパートナー企業が応じ、顧客への素早い回答が可能になる。

 そんな国居の鞄には、会社案内や製品カタログなど資料一式が常に3部以上、入っている。製品を説明する際に、例えば相手が複数人なら1人に1部ずつ資料を手渡す。1部の資料を回し読みしてもらうことは、顧客の手間を増やすことになるからだ。もっともきっかけは、1部しか持っていなかった資料を最初の顧客に渡してしまい、次の客先で渡す資料がなく冷や汗をかいたからだとか。

国居 将隆(くにすえ まさたか)氏
住商エレクトロニクス ストレージネットワーク事業部 営業部第一課長
1966年12月、大阪府生まれ。近畿大学法学部経営法学科卒業、89年4月新日本証券(現新光証券)に入社し営業を担当。92年1月住商エレクトロニクスに転職しネットワーク関連製品の営業担当に。98年4月から現職。大手都市銀行から相次いで数億円単位の大規模案件を受注している。


=文中敬称略=(中井)