“オンデマンド”と銘打って運用管理サービスを従量課金で提供する動きが目立つ。ユーザー企業に導入の柔軟性を訴求して売る。新サービスに向けてシステムインテグレータとITベンダーの協業も活発だ。

 「技術者を新たに雇うよりも、格段に低いコストでOracleの運用保守を実現できた」。ビー・ビー・ケーブル(BBケーブル)の益満信吾システム運用グループゼネラルマネージャーは、2004年6月に導入した日本オラクルのオンデマンドサービス「Oracle On Demand」の利点をこう説明する。

 それまでBBケーブルは、同社のコンテンツ配信システムで利用するミドルウエアのパッケージベンダーに、Oracleのデータベースの保守を任せていた。しかし障害への対応の遅さなどが問題となり、Oracleの運用保守体制の見直しを余儀なくされていた。

 当初は自社でOracleの技術者を採用することも検討したが、優秀な技術者をなかなか採用できなかった。そこで候補に上がったのがOracle On Demandであり、費用対効果も検討して採用を決めた。

 日本オラクルが2004年3月に提供を開始したOracle On Demandは、データベースやERP(統合基幹業務システム)など、オラクル製品の運用保守サービスを、CPU数やユーザー数に応じた月額料金で提供するサービス。稼働監視などの運用に加え、修正モジュールの適用や性能維持のためのパラメータ設定変更の提案などもサービスに含まれる。「工数の積み上げ型で価格が決まっていた従来型のアウトソーシングと異なり、ユーザー企業は導入しやすい」(日本オラクルの桑原宏昭執行役員ビジネスオンデマンド開発室)。

従量課金が運用管理へ拡大

 ソフト/ハードベンダーが次世代のITサービス提供形態として、こぞって提唱しているのが、「オンデマンド」や「ユーティリティコンピューティング」と呼ばれるサービスである。“ITを必要なときに、必要な分だけ利用し、それに見合った料金を支払う”という方式だ。

 ユーザー企業はこれまで、将来の処理量の増加を見込んでシステムを構築せざるを得ず、初期投資が膨らみがちだった。処理量に変動があれば、ピークに合わせるため、繁忙期以外は有り余るITリソースが無駄になってしまう。

 こうした課題に対応するため、既に一部のサーバー・ベンダーは数年前から、サーバーやCPU、ストレージなどを将来必要なハードまであらかじめ納入しておき、利用した分の料金を後から支払う「キャパシティ・オンデマンド」と呼ぶ課金体系を提供してきた。最近ではCPUやストレージの利用率に応じて課金する料金体系も登場している。

 そして2003年末から相次ぎ登場しているのが、日本オラクルのように運用管理を従量課金で提供するサービスである。

 富士通は、2003年12月から「オンデマンドアウトソーシングサービス」と呼ぶ従量課金型のサービスを提供している。サーバーやストレージの従量課金のほか、運用管理サービスのメニューに応じて設定した月額料金で提供する。既に約40社のユーザーを獲得している。日本IBMも2003年11月、オンデマンド型アウトソーシングサービスの基盤技術「UMI(ユニバーサル・マネジメント・インフラストラクチャー)」を発表した。大量のサーバーを一括管理する機能を備えるもので、2004年中にUMI基盤を使ったアウトソーシングサービスの提供を開始する計画だ。サーバーやストレージのリソースを利用量に応じて課金するサービスで、稼働監視や構成管理といった運用管理も従量課金で提供する。

(森重 和春)