PR

 SRA が、ザインエレクトロニクスからIT基盤の再構築と運用を受注した。IT部門のない企業が手作りしたシステムの再構築だからと甘くみた案件は、一筋縄ではいかない商談だった。(文中敬称略)



 「この提案書のままでは、やはり提出できません」―。

 SRAのネットワーク&サービスカンパニービジネスマーケティング部技術担当主任の児玉英一郎は、上司の佐藤哲也に、意を決してこう打ち明けた。翌日は、商談相手のザインエレクトロニクスに、提案書を提出する期日。土壇場になって、用意していた提案書を引っ込めると決めたのだ。翌日、児玉は佐藤に伴われてザインエレクトロニクスを訪れ、提案書の提出期日を伸ばしてもらうよう、頭を下げた。

 児玉が所属するネットワーク&サービスカンパニーは、運用保守サービスを手掛ける。大手ユーザー企業をいくつも抱えてはいるが、新規ユーザーをなかなか開拓できないのが悩みの種だった。当時、成長過程にある中堅・中小企業を新規顧客として獲得することを、戦略として掲げていた。

 ザインエレクトロニクスは、この5年間で売り上げが7 倍という急成長企業。社員数80人足らずで年間150億円超を稼ぎ出し、営業利益率は15%に迫る。SRAにとって、ザインエレクトロニクスとの商談は、まさに願ってもない戦略案件だった。

自前の構築・運用が限界に

 ザインエレクトロニクスには、IT部門がない。中核システムであるLSI設計用のUNIXワークステーションをはじめ、社内のネットワーク、メールサーバーやWebサーバーなど、すべてのシステムを、LSIの開発者である技術者が、本業の傍らで構築・運用してきた。

 だが、会社が大きくなるにつれ、この体制に無理が生じてきた。規模拡大によってトラブルも増え、技術者が対応に追われる時間は、大きな損失になっていた。今回のプロジェクト責任者であるザインエレクトロニクス取締役業務部長の高田康裕は「この状況から脱しなければ、本来の業務が進まない状況だった」と振り返る。

 ザインエレクトロニクスは、2003年5月のオフィス移転を機に、ITインフラの再整備に本格的に取りかかった。新オフィスにはサーバールームも用意し、自前で手掛けてきた構築・運用を外部の業者に任せることを前提に、検討を始めたのである。

(森重 和春)