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 2005年4月1日、ITフロンティアの太田真一は、製造、公共、金融、中小企業など広範な業種の企業を受け持つ営業第二本部の本部長に就任した。三菱商事を親会社とする同社の中で、三菱商事関連以外のいわゆる“外販”ビジネスを展開する主力部隊の1つだ。

 太田が営業として何よりも重視するのは「オーナーシップ」だ。太田は「顧客のことを一番知っているのは営業である自分。だから、顧客を満足させるために、自分が主体性を持って動くこと」と説明する。この考え方は、入社直後の2年間の研修や、その後の大阪支店勤務で体に染み付いた。支店長や顧客、日本IBMのAS/400担当者に、営業としての基本を教わったという。

 周囲の評は「粘り強い人」。大阪時代に大手ゼネコンから受注した大型案件は、当時ブームだったインテリジェントビルに、入居企業向けの秘書サービスなどを支援するシステムを導入するものだった。太田は毎朝、客先の常務のもとに足を運んだ。「会えなくても、廊下ですれ違うだけでもいい。当社にとって大事な提案なんですという気持ちを伝えたかった」。弱冠25~26歳の太田が、大手企業の常務相手にひるまなかったのは、「営業はオーナーシップだ」と信じていたから。競合を排して受注を獲得したことで、営業の面白さにも目覚めた。

 15年以上が過ぎた今、この「粘り」にも磨きがかかった。顧客が満足する提案を作るには、開発をはじめとする社内各部門の協力が不可欠だが、肝心の相手先に渋られることもときにはある。しかし太田は、ちょっとやそっとでは諦めない。取材前日も社内で激論を戦わせたばかりという。

 「常に顧客にとっても自分にとっても、納得いく提案がしたい。そのための根回しや気配りは、苦労じゃない」と笑顔で語る太田。だが鞄をのぞくと、パソコンやノートなどに交じって緑色の物体が。低反発性の素材でできたハート型のストレス解消グッズだった。ときにはこれを思いきり握って、気持ちを切り替えることもあるらしい。

太田 真一(おおた しんいち)氏
アイ・ティ・フロンティア
営業第二本部 本部長
1985年に日本大学文理学部を卒業、アイ・ティ・フロンティア(ITフロンティア)の前身の1社、エイ・エス・ティに入社。87年に大阪支店に転勤、日本IBMのAS/400などの販売に従事。91年から東京でPDM(製品データマネジメント)関連ソフトを担当し、大手重電メーカーなどから受注。2002年から公共分野担当を経て2004年4月に現職。3年前にマラソンを始めたほか、休日は朝夕2時間ほどかけて犬の散歩をする。


=文中敬称略(中村 仁美=フリーランスライター)