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 みずほ信託銀行と新しいビジネスモデルを検討し、新規顧客の開拓に貢献したのがニッセイ情報テクノロジーの黒川洋一だ。同社が開発した年金数理システムのパッケージ「e-PASS」を、そのままユーザー企業に販売するのではなく、ソフトの著作権をみずほ信託銀行の信託財産として登録し、販売したのである。なぜ、こうした方法を採用したのか。それは黒川の営業経験に起因している。

 現在の黒川は新規事業の開発が主な役目。だが、入社してからの14年間は、親会社である日本生命のシステム部門に所属し、社内システムの開発に携わってきた。転機が訪れたのは、99年にニッセイ情報テクノロジーが設立され、異動したとき。「営業の仕事を極めたい」という長年の希望が叶えられた。

 実は初めて営業として売った商品が、これまで自分が開発に携わってきたe-PASSだった。本来は日本生命向けのシステムだが、オープン系にしてコスト削減を実現し、データ構造もシンプルにして使い勝手も向上させた。「絶対に売れる」と黒川は期待し、初の商談でもユーザー企業は気に入ってくれた。しかし受注に至らなかった。e-PASSの販売対象のほとんどは親会社の競合会社で、相手も導入に不安を覚えたのだ。そこで、ソフトの著作権を信託財産として登録する方法をみずほ信託銀行と推進した。ワンクッションを置いて販売すれば、相手も安心して導入できる。「顧客にとって最も価値ある形でサービスを提供できた」という。

 黒川の顧客中心の考え方は鞄の中身にも反映されている。「提案書は1枚で十分」という持論を持っており、鞄の中にはほとんど提案資料がない。「顧客が本当に知りたいのは提案の内容。顧客の判断は提案書の良し悪しだけでは決まらない」と言い切る。個人情報保護法が施行されたことで、ノートパソコンを持ち歩くこともやめた。セキュリティの時代にあって顧客がどう反応するか分からないからだ。

 「顧客が何を求めているのか、それを聞き出し、真のソリューションを提案する。その成果が数字となって表れるのがうれしい」と語る黒川。勤続20年を迎えた今、改めて営業の面白さを実感している。

黒川 洋一(くろかわ よういち)氏
ニッセイ情報テクノロジー
企画開発本部 営業部長
1962年生まれ。85年に東京大学経済学部卒業後、日本生命保険に入社。以後14年間、日本生命のシステム部門で企業向けの年金システムなど様々な開発に携わった。99年7月、ニッセイ情報テクノロジー設立と同時に異動。現在は新規事業開発の一環として、保険関連分野における業務ノウハウを生かしたソリューション営業を推進する。自他ともに認める阪神タイガースの大ファンで、忙しい中でも合間を見つけては野球場に足を運んで熱心に応援している。


=文中敬称略(中村 仁美=フリーランスライター)