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 ユーザー企業の強いコスト削減ニーズで利用が広がるオープンソースソフト。もはや、顧客の要望に応えるだけの受け身の姿勢では済まなくなっている。ソリューションプロバイダには、サービスを競争力の源泉とする収益モデルの確立が必要だ。



 オープンソースソフト(OSS)の利用が急増している。日経マーケット・アクセスが今年1月に実施した調査によると、何らかのOSSを利用しているというユーザー企業は43.0%。2年前の調査に比べて8.4ポイント増加した。OSのLinuxに加え、データベースやWebアプリケーションサーバーなど、ミドルウエアにも利用範囲が拡大している。例えばWebアプリケーションサーバーの「JBoss」や「Tomcat」の利用企業は1割を超える。日本IBMの「WebSphere Application Server」など、主要な商用ソフトを上回る利用率だ。

 基幹システムへのOSS導入も進んでいる。例えばNTTドコモは、2004年10月、他の通信事業者との相互接続に伴う通信料金の計算システムを、Linuxをベースに開発、稼働させた。数千万人規模の通話情報を収集するミッション・クリティカル・システムである。開発を手掛けたNTTコムウェアの北井敦オープンソースソフトウェア推進部OSS基盤担当部長は「この実績をベースに、NTTグループ向けを中心に、大規模な基幹システムへのオープンソース活用を拡大していく」と話す。

 野村総合研究所(NRI)の寺田雄一情報技術本部技術開発部オープンソリューションセンターグループマネージャーは「データベースは商用製品を利用することがまだ多いが、Webアプリケーションサーバーなら、既にどんなシステムにもOSSを利用できる」と話す。NRIは2004年度、JBossを使って、Webサーバー十数台を実装する大規模システムの導入に成功。これがきっかけとなり、今年はOSSを使ったシステムの受注は、前年比倍増の勢いで伸びている。

 こうした状況を受けて、新たな取り組みも始まった。テンアートニは7月20日、中堅・中小企業向けのSFA(セールス・フォース・オートメーション)パッケージ「Sales Force Automation+」を発表した。無制限ユーザーライセンス100万円で販売するが、将来オープンソース化し、ユーザー企業からは、期間サポート契約などの利用料を徴収するサブスクリプション型のビジネスモデルに転換していくことを視野に入れている。

 「エンタープライズの領域にも、OSSの活用は広がり始めている。ソフトを売る時代は終わり、サービスで競争する時代になる」。テンアートニの喜多伸夫社長は、OSSの普及によって、ソリューションプロバイダのビジネスモデルが変わると指摘する。

サポート整備し攻めの提案へ

 大手メーカーやソリューションプロバイダのOSSへの取り組みは従来、OSSの利用に積極的なユーザー企業からの要求に応える受け身の姿勢だった。しかしユーザーのニーズ拡大に伴って、商用製品よりもむしろOSSを優先して提案する企業が増えている。

 NRIの寺田マネージャーは、「ユーザー企業から指定されたり、他のシステムと統一する必要がある場合などを除いて、基本的にオープンソースを使ったシステムを提案する」と話す。NTTデータの安達定昌オープンソース開発センタOSSインテグレーションサービスユニットインテグレーション担当部長も「今年に入って事業部門の認知度も高まり、営業から持ち込まれる案件は倍以上に増えた」と、その変化を説明する。

 90年代末からのLinuxの普及期をオープンソースビジネスの第1フェーズ、ここ1~2年ほどのミドルウエアの浸透を第2フェーズとするなら、今はまさに、ソリューションプロバイダ自らがオープンソースのビジネスを、受身の姿勢から攻めの姿勢に転換する第3フェーズに入ったといえるだろう。

(森重 和春)