顧客の事務作業まで含めて請け負うITアウトソーシングのBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業に対する期待が高まっている。BPOの市場動向や顧客ニーズに詳しい米調査会社のフォレスター・リサーチのジョン・マッカーシー氏にBPO事業の成功要因などを聞いた。

問 BPO市場の動向は。
米国のBPO市場は2002年に約50億ドルだが、2006年には550億ドル弱にまで伸びる。米フォーチュン1000クラスの80社強を対象にした調査結果によれば、BPOに年間500万ドル以上投資する企業の割合は、2002年の15%が2004年には37%に増える。BPOサービスを提供するためのコストが今後10年間に半分以下になることも、市場を拡大する。例えば、Webサービス技術が広がることや、様々な業務の標準化・集中化、ITによるプロセスの自動化などがコストを引き下げる要因だ。

問 BPOと、従来のアウトソーシングやAPO(アプリケーションアウトソーシング)との違いは何か。
業務プロセスを含めて、サービス事業者がマネジメントするのがBPOだ。アプリケーションプログラムの運用を代行するAPOにしても、伝票の扱いなどを含め、最終的なプロセスは顧客が手掛けている。ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)も同じ。APOやASPでは、人のマネジメント能力は顧客側に求められる。BPOでは顧客はアウトプットのみを期待し、経営視点でサービスレベルを管理するようになる。サービス事業者はそれに備えることも必要だ。

問 BPO事象者としての成功要因は。
大きく三つある。第1は、一つか二つのプロセスに集中し、得意分野でBPOの市場を創出することだ。二つ目は、業務プロセスを小さく分解することだ。例えば財務会計全般のBPOを最初から提案しても、顧客は効果を把握できない。分解したそれぞれのプロセスごとにメリットを明示するべきだ。最後は業務プロセスをどう顧客に見せるかを考えることだろう。BPOの過程で取得したデータに基づいて、さらに改善点を提案することもBPO事業者の役割になる。そのためのルールやソフトをつくる必要もある。

問 BPO事業者の勝者は、ITベンダーか、コンサルティング会社か。
どちらとも言えない。BPO事業者は両方のノウハウが必要だからだ。まず業務プロセスを標準化・集中化するためのコンサルティングのノウハウが必要だし、ビジネスプロセスをマネジメントしコストを下げるにはITのノウハウが必要になるからだ。両者を結合することが重要で、その手段は買収や協業、人材の社内育成などがある。その意味で、米IBMが旧プライスウォーターハウスクーパーズのコンサルティング部門を買収してコンサルティングスキルを手に入れ、研究開発部隊が業務プロセス測定をテーマにしていることはBPO市場では重要な意味を持つ。

志度 昌宏=日経ソリューションビジネス