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 NECは10月30日、中期経営戦略を発表した。2003年3月期は2.5%だった営業利益率を3~4年後をメドに7%に引き上げる。「堅実な目標だ」と金杉明信社長は自信を見せるが、牽引役と期待しているのがSI(システムインテグレーション)事業やネットワークソリューション事業の収益力強化、プロダクト事業の原価低減策などだ。

 SI事業では、サービスによる収益を増やす。既存顧客を対象にしたアウトソーシングサービスを事業の第2の柱と位置付け、現在の1000億円から1500億円に引き上げる。年3月にミドルウエア開発部門でCMMI(ソフト成熟度モデル統合)レベル5の認定を取得したが、そのノウハウを他部門にも伝えることによって、ソフト開発やSIプロセスを改善してコストを30%低減する一方で、中国やインドでの開発要員を3000人から4500人に引き上げる。こうした措置によって、出荷金額を5%伸ばしながら、営業利益率は10%以上にする。

 ネットワークソリューション事業では、自社製品を主体にしたビジネスから脱却する方針。オープン系の自社製品と他社製品を組み合わせ、サービスを加えることによって、IP電話や広域イーサネットなどの分野で競争力を強化し、出荷金額を20%増やす。

 中期目標における自社製品の割合は全体の42%程度にする予定で、約53%に達している2003年3月期の自社製品に比べて10ポイント近く下落する。これに伴って、出荷金額もわずかに減少する見込みだが、代わりに他社製品の取扱額を増やすことと、サービスによる売り上げを大幅に増やすことによって、減収を防ぐ。「ブロードバンド関連技術の変化は速い。それに追いつくには、自社製品だけにこだわらないことが大切だ」と松本滋夫専務は話す。

渡辺 一正=日経ソリューションビジネス