富士通は4月21日、同社が提供する企業向けデータ通信サービスFENICS上で、付加的なネットワーク機能を部品化して提供するサービスを開始した。

 新たに提供する付加サービス「FENICS-AS」は、セキュリティや認証、運用・ネットワーク管理、IP電話・テレビ会議、モバイルソリューション、海外拠点との通信ローミングといったパーツで構成。顧客は、自社のニーズに応じて、FENICS回線上で利用するパーツを組み合わせられる。

 FENICSは、2003年度末時点で約4500社の法人ユーザーを抱え、同年度に約1300億円の売上高を挙げている。年平均15%の増収ペースを維持している成長分野だが、通信事業自体の利幅は薄くなっている。このため富士通は、今回の付加サービスの提供を通じて、「顧客にネットワークインフラからITまで、ワンストップでソリューションを提供する体制を強化」(太田常務)し、利幅の確保に務める考えだ。新規ユーザー獲得のほか、「毎年、FENICSユーザーの約2割を新サービスに取り込む」(太田幸一経営執行役常務)ペースで普及を目指す。2006年度までに、FENICS-ASで累計2000億円の売り上げを達成する計画だ。

 FENICS-ASは、販売方法として企業への直販に加え、有力パッケージソフト開発など外部企業との協業強化にも取り組む。その第1弾として、サイボウズや会計パッケージ開発企業へのサービス卸売りを開始したことを明らかにした。サイボウズの例では、同社のグループウエアであるガルーンを、FENICSの通信サービスIP電話と連携させて顧客に提供する。サービスを卸売りするほか、「提携先企業が資金力に欠けても、事業に成長性があると判断した場合は、その企業とリベニューシェア方式で協業する。近く、その協業事例を明らかにする」(川妻庸雄ネットワークサービス事業本部長)という。

玄 忠雄=日経ソリューションビジネス