外資系通信事業者のケーブル・アンド・ワイヤレスIDC(C&W IDC)は、自社のデータセンター事業にITIL(ITインフラストラクチャライブラリ)を導入し、サービス品質や運用体制の改善に着手した。導入支援のコンサルティングは、システム開発・運用受託を手掛けるニスコム(東京都渋谷区、代表:尾上卓太郎氏)が提供している。実は、ニスコムは今回のサービスをC&W IDCに無償で提供している。ニスコムは既にC&W IDCからデータセンター運用業務の一部を受託しており、対象となる業務が自社のスタッフを派遣している部門であったから。また、システム開発からコンサルティングへの事業拡大を目指すニスコムが、今回のサービスをノウハウと実績を積むためのプロジェクトと位置付けたためだ。
ITILとは、業務を適切にサポートするようにITを管理・改善するための方法論。英国政府が策定しており、事実上の業界標準になっている。C&W IDCは4月にそのプロジェクトを立ち上げており、7月からITILに基づいた改善活動に移行した。9月には3カ月分の活動成果をまとめ、その導入効果を評価する予定だ。一方、ニスコムはITILコンサルティング事業への本格参入に向けて、C&W IDCとのプロジェクトを通じてコンサルティングノウハウの蓄積を目指す。
C&W IDCがITILを導入するのは、買収で拡大させて来て、大きく二つに分かれていたデータセンター事業のサービスレベルや顧客対応の一元化を図るため。旧エクソダスコミュニケーションズや旧デジタルアイランド・ジャパンの事業が元になり、顧客にサーバーの運用環境を提供する「ハウジング」サービスと、旧ピーエスアイネットの事業が元でサーバーを複数のユーザーで共有する「シェアド」サービスである。これまでは二つの顧客窓口を並行運用しサービスレベルもばらばらなほか、障害などの問題管理やシステムの構成管理の水準が低かったという。C&W IDCは、ITILの導入によって、サポートデスクを統一するほか、問題管理の能力引き上げなどを目指す。
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