10月1日に、京セラ丸善システムインテグレーション(KMSI)が誕生した。丸善システムインテグレーション(MSI)など丸善のITサービス子会社3社を統合、そこに京セラコミュニケーションシステム(KCCS)が資本提携して発足した会社だ。出資比率は、KCCSが60%、丸善が40%。社員数は320人で、2005年3月期の売上高は約100億円を見込む。新会社の社長には北村寛・KCCS専務取締役が就任した。今後の事業戦略を北村社長に聞いた。
問 KMSIはどんな事業を手掛けていくのか。
丸善のITサービス子会社がこれまで手掛けてきた事業を強化する。具体的には、図書館システムを中心とする文教分野、医療分野、それと出版業などの民需分野だ。現状の売り上げ比率は順に3対2対5である。いずれの分野も、オフコンやパソコンのパッケージが中心で、自社でカスタマイズまで行っているケースと、パートナーを通じて販売・カスタマイズしているケースとがある。今後は、民需分野については、パッケージだけでなく、大規模なSI(システムインテグレーション)案件も手掛けていく。
問 KCCSが丸善と資本提携した狙いは。
KCCSは以前から文教・医療市場に参入したいと考えていた。これら市場において「丸善」のブランド力は絶大だ。一方、KCCSはネットワークやモバイル、セキュリティといった技術分野が強い。こういった技術を、丸善は自社のソリューションに付加したいと考えていた。例えば、大学向けの情報システムの端末として携帯電話を利用できるようにしたり、セキュリティを強化したりといったニーズは既にかなり出ている。
さらに、KCCSはデータセンター事業にも力を入れている。文教・医療市場でも今後、データセンターを使ったe-ラーニングのシステムやアウトソーシングへのニーズは高まるはず。お互いにとって大きなメリットがあり、思惑が合致した。KCCSは、既存のソリューションプロバイダへの資本提携によって事業ドメインを拡大する戦略をとっており、その一環でもある。
問 丸善とKCCSとでは全く企業文化が異なるように見える。
就任して1カ月経ったが、思いのほか、波長が合うなというのが正直な感想だ。もちろん生い立ちが違うし、企業文化も違う。でも、いろいろなカラーがあって当たり前で、その文化は大事にしながら、新しい企業文化を作っていくのが私の使命。まずは社員を明るく元気にしたい。手始めに、挨拶の励行と朝礼、さらに体操を始めた(笑)。
問 現状の課題は何か。
組織の縦割りが強いことだ。各営業所の権限も強く、営業所ごとに異なるパートナーと付き合っている。そのためパートナーは200社に上り、企業規模の割に多すぎる。今後は部分最適を改め、全体最適を追求していく。来年からは京セラ流のアメーバ経営も実践し、企業変革を進める。
オフコンベースのパッケージが多い点も課題だ。LinuxやJavaなど、新しい技術をKCCSからどんどん注入する。KCCSとのシナジー効果を出し、KMSIを安定成長できる元気な会社にすることが私の使命だ。2007年3月期には売上高150億円、経常利益15億円を目指す。
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