プロジェクトの目的は,仕様に忠実でかつ安定して動作するリファレンス的なv6ソフトを作り出すこと。80年代前半に誕生したBSD版TCP/IPソフトが,その後のパソコン用TCP/IPソフトのルーツとなったように,IPv6ソフトの手本をBSD向けに作るために開発作業を続けている。最初のバージョンを発表したのは99年5月。企業や大学が個別に開発していたソフトを統合化したものだった。

 KAMEプロジェクトには開発作業のための拠点があり,開発メンバーは毎日交代でその拠点で開発作業に専念している。こうして開発体制を整え,1週間に一度の割合で更新版をリリースするという精力的な開発作業を継続している。今では,TCP/IP本体に加え,電子メールやWeb,FTPといったサーバー/クライアント・ソフトのv6対応版についても,ほぼ開発を完了させている。また,プロジェクトのねらい通り,KAMEを活用してIPv6対応ルーターやIPv6-IPv4トランスレータを開発した例もある。

 ちなみKAMEの語源は,誰もが推測するように日本語の“亀”。なぜ亀という名前になったのかは,初期からプロジェクトにかかわっているメンバーたちが開発に取り組む生活の中で,自然発生的に生まれたものだと言われている。

 KAMEとはなんとも奇妙な名前だが,フリーソフトとして流通している国産のIPv6対応TCP/IPソフトのことである。フリーUNIXであるFreeBSDやOpenBSD,NetBSDなどに標準添付されている。これらフリーUNIXの最新バージョンをインストールすると,KAMEが起動し,自動的にIPv6モードがオンになる。

 過去には,KAME以外にもUNIX用としていくつかのv6ソフトが各国のチームの手で開発されていた。が,その後各チームは開発から手を引き,KAMEが事実上標準的なIPv6対応TCP/IPソフトになった。

 KAMEを開発したのは,産学共同プロジェクトである「KAMEプロジェクト」。このプロジェクトは98年4月に,NEC,インターネットネットイニシアティブ(IIJ),ソニー,日立製作所,富士通といった企業と,京都大学,慶應義塾大学,東京大学などの大学の研究者によって組織された。

■ KAMEプロジェクトのホームページhttp://www.kame.net/
■ KAMEの語源について紹介しているページhttp://www.kame.net/~kazu/kame/1.html