WGは,ジャンルごとにエリアと呼ばれるグループにまとめられる。現在エリアは九つあり,エリアごとにエリア統括者が一人選出される。この9人のエリア統括者とIETF全体をまとめるIETF議長の計10人で構成するIESGと呼ぶ連絡会が,IETFの運営をどうするかを決めている。
WGの活動の中心はメーリング・リストである。メンバーが実際に顔を合わせるのは年に3回開かれるIETF総会のときぐらい。議事の調整はWGごとに選ばれた議長の仕事である。WGにはだれもが自由に参加できる。
IETFがインターネット標準を作成する過程は,なかなか興味深い。基本ポリシーは,「ラフ・コンセンサス・アンド・ランニング・コード」。つまり,メンバーの間で合意を得ることと,プログラムが実際に動くことを重視する。投票で標準化を決めたりはしない。
IPv6を研究するWGは「ipngwg」である。ここでは,IPv6のプロトコル仕様をはじめ,アドレス体系,関連プロトコル,既存プロトコルとの共存・連携方法などについて議論し,仕様を開発している。
もっとも,IPv6関連のプロトコル開発を担当しているのはipngwgだけではない。例えば,IPv4からIPv6への移行を研究するWGは別に設けられている(名称はngtrans)。また,既存の多くのWGも,それぞれのテーマにおいてIPv6対応を検討している。
IETFとは,Internet Engineering Task Forceの略。インターネット上で使われるプロトコルを標準化し,仕様を一般公開している組織である。仕様はだれでも無料でインターネット経由で入手できるようになっている。
IETFが誕生したのは1986年。当時はIABという組織がTCP/IP関連の研究開発を担当していた。IABは,自分たちの活動で生まれた技術を標準化し,それを世の中に知らしめるためにIETFという組織を発足させた。
IETFでの具体的な開発作業は,ワーキング・グループ(WG)と呼ぶテーマ別の作業グループごとに進められる。発足当初,WGは20程度だけだったが,現在は100を超えている。各WGには,3~8文字ぐらいのアルファベットを使った名前が付いている。たとえば,DNSの拡張がテーマならdnsext,IP電話ならiptelといった具合いだ。
■IETFのホームページ
http://www.ietf.org/
■ipngの目的や成果を紹介するページ
http://www.ietf.org/html.charters/ipngwg-charter.html