前半のビット分については,契約先インターネット接続事業者(プロバイダ)のDNSサーバーに登録してもらうようにする。先ほどの例でいうと,「ns.hoge.com」というホスト名を持つDNSサーバーに登録する。

 なぜ,A6のようなレコードが存在するのかというと,プロバイダを乗り換えたユーザーが,自分のDNSサーバーの登録データを変更せずに済ませるため。IPv6の世界では,前半部分はプロバイダから割り当ててもらい,後半部分はLANカードに書き込まれてあるMACアドレスなどから自動生成し,最後に合成してIPv6アドレスを作り出す。こうしたことから,プロバイダを乗り換えると,IPv6アドレスのうち,前半部分が変わる。後半は常に同じなので,A6を使ったユーザーがプロバイダを乗り換えても,自分のDNSサーバーの登録データを変更する必要はなくなるのである。乗り換え先のプロバイダに,前半48ビット分をDNSサーバーへ登録してもらえば,あとはなにもしなくてよい。

 便利なA6だが,問題がないわけではない。DNSサーバーへ問い合わせる回数が,AAAAに比べて劇的に増えてしまい,DNSサーバーの負荷やトラフィックが増えてしまうという問題がある。このためA6がAAAAの代わりに一般的に使われるどうかは未知数である。

 A6と書いて,“エーシックス”と読む。AやAAAAと同じく,DNSサーバーにサーバーやパソコンのホスト名を登録する際に使うレコード名の一つである。A6は,IPv6アドレスをホスト名に対応づける正引き用のレコードだ。

 ホスト名をIPv6アドレスに対応づける正引きレコードとして,ほかにAAAAもある。A6がAAAAと違う点は,IPv6アドレスを前半と後半に分割し,前半と後半で別々のDNSサーバーに登録できることにある。

 しくみはこうだ。パソコンからあるホスト名のIPv6アドレスについてDNSサーバーに問い合わせると,その問い合わせ元となるDNSサーバーは,まず後半のIPv6アドレスを知るDNSサーバーにアクセスする。そして,後半のIPv6アドレスを取得すると同時に,前半のIPv6アドレスを知るDNSサーバーを教えてもらう。次に前半のIPv6アドレスを知るDNSサーバーへアクセスし,前半のIPv6アドレスを教えてもらう。問い合わせ元のDNSサーバーは,こうして得たデータを元にIPv6アドレスを合成してパソコンに返信する。

 つまりA6を使うケースでは,あるドメイン名を取得してDNSサーバーを立ち上げる場合,自身のDNSサーバーに登録するのは,後半部分のIPv6アドレスだけ。「v6start.net IN A6 64 1::1 ns.v6start.net」といったぐあいに登録すればよい。この登録の意味は,「v6start.netというホスト名は末尾が1::1。前半部分(このケースでは64ビット)はns.v6start.netに聞いて」というものである。


A6はRFC2874で使い方が決められているhttp://www.ietf.org/rfc/rfc2874.txt?number=2874
DNSサーバーbindはバージョン9でA6が使えるようになったhttp://www.isc.org/products/BIND/bind9.html