IPv6アドレスは128ビット長であるが,一般に上位の64ビットはネットワークの識別子として,下位の64ビットはそのネットワークにおけるホストの識別子として使われる。前者はプレフィクス,後者はインタフェースIDと呼ばれる。

 IPv6ホストは,グローバル・アドレスやサイトローカル・アドレスの設定にステートレスアドレス自動設定を利用できる。この場合,プレフィクスは自動取得できる。また,プレフィクスを手動で設定することも可能である。

 ステートレスアドレス自動設定を用いたプレフィクスの取得は,プレフィクス情報オプションを含んだRAの受信で実行される。

 プレフィクス情報オプションには,そのネットワークのプレフィクスそのものが含まれており,ホストはこのプレフィクスを基に自分のアドレスを設定するのである。

 同時にプレフィクス情報オプションは,そのプレフィクスの使用期限を示す二つの有効時間「最終有効時間/推奨有効時間」も含んでいる。この有効時間は秒単位であり,その長さは32ビットである。32ビットすべてが“1”のときは,そのプレフィクスの有効期限が無限であることを意味する。

 ホストはあらかじめプレフィクス・リストと呼ばれるリストをもっている。プレフィクス情報オプションを含んだRAを受信すると,プレフィクスと共に「最終有効時間/推奨有効時間」を記録する。

 最終有効時間は推奨有効時間より長い。最終有効時間が過ぎたプレフィクスは使用できない。一方,推奨有効時間が切れたプレフィックスは,最終有効時間が近付いているため,新しい通信のソース・アドレスのプレフィクスとして使用することを避けるべきであるとされている。なぜなら,通信の途中で最終有効時間が過ぎ,プレフィクスが使えなくなる危険性があるからである。

 ルーターが複数のプレフィクス情報を送信していれば,もしくは複数のルーターが異なるプレフィクス情報を送信していれば,ホストはそれらを基に複数のアドレスを設定できる。

 通常,ホストは定期的にRAを受信し,プレフィクスの有効時間を更新している。このため,同じプレフィクスを有効時間が切れることなく使い続けることができる。ただし,管理者が何らかの理由でネットワークのプレフィクスを変えたり,ネットワークの構成が変わったりすることで,古いプレフィクスが使えなくなることがあるかもしれない。

 このような場合でも,プレフィクスに有効時間が設定されているおかげで,ホストは特別な処理をしなくても,リストから有効なプレフィクスを見つけて通信を継続できるわけである。

(秋定征世▼横河電機 IT事業部 ITプロダクト事業センター)