RIPngは,IPv6ネットワークにおける代表的なルーティング・プロトコルの一つ。ルーティング・プロトコルは,ルーター同士がお互いの経路情報をやりとりするための手順である。IPv4では中小規模のネットワーク向けのルーティング・プロトコルとしてRIPがあった。RIPngは,それをIPv6に対応させたものであり,基本的な仕様や特徴はRIPと同じである。

 RIPngパケットはUDPのポート521番を使用する。RIPngを動かしているルーターは,RIPngパケットを同一リンク上のff02::9あてに30秒毎に送信する。こうして,定期的に同一リンク上にいるルーターに経路情報を伝えるのである。

 RIPngでやりとりする経路情報は,一つの経路情報の中にプレフィクス,プレフィクス長,その情報を送信しているルーターからプレフィクスまでのメトリック(中継点数),フラグが含まれる。これらの組み合わせで構成される複数の経路情報を,一つのRIPngパケットで伝えることもある。

 経路情報としては,次の中継点(next hop)の情報が必要不可欠となるが,RIPngパケットの中の一つ一つの経路情報の中にはない。RIPngでは,RIPngパケットを送信したルーターの送信元アドレスが,次の中継点として使うことになっているからである。送信元アドレスを次の中継点にしてほしくないときは,明示的に次の中継点を指定することができる。

 RIPngを受け取ったルーターは,そのパケットの中にある経路情報を自分の経路表に反映する。すでに同じあて先プレフィクスが経路表の中にあるとき,あるいは複数のルーターから同じあて先プレフィクスの経路情報を受け取ったときは,それぞれのメトリックを比較し,メトリックが小さい方の経路情報を経路表に反映する。最終的に経路表に登録された経路情報は,受け取った経路のメトリックに1を足してから他のルーターに通知(広告と呼ばれる)される。

 RIPngで受け取った各経路にはタイマがある。これは,各経路をRIPngで受け取るたびに初期化される。経路を受け取ってから3分(デフォルト値)が経過し,新しくその経路が通知されてこないときは,その経路が無効となったと判断し,経路表から削除する。

 RIPngには,RIPと同じような制限がある。まず最大ホップ数(メトリック)は15である。このため,多数のルーターを経由しなければならないような大規模なネットワークでは使えない。メトリックが16の経路を受け取ったときは,その経路は到達不能と判断する。

 また,各経路のタイマが切れないと経路を無効にしたり,切り替えたりできないので,ネットワークが断線してもしばらくの間はその経路が生きている状態になってしまう。また,同一の経路情報を複数受け取った場合にその経路を選択する方法がメトリックしかないので,ネットワークの帯域,信頼性,遅延などを考慮して最適経路を選ぶこともできない。

(遠藤正仁▼横河電機 IT事業部 ITプロダクト事業センター)