IPv6は広大なアドレス空間を持っているため,今はIPアドレスを持っていない電子機器での利用が期待されている。そうしたIPv6予備軍に挙げられる代表的な電子機器に携帯電話がある。3GPP(The 3rd Generation Partnership Project)は,この携帯電話の最新方式である第3世代携帯電話の仕様開発および普及促進を目的に組織された民間団体である。

 3GPPが発足したのは1998年12月のことである。主要メンバーとして,欧州のETSI(European Telecommunications Standards Institute),米国のT1委員会,日本の電波産業会(ARIB)と電信電話術委員会(TTC),中国のCWTS(China Wireless Telecommunication Standard Group ),韓国のTTA(Korean Telecommunications Technology Association )など,各地域の公的な標準化団体が参加している。

 3GPPが作成を進めている第3世代携帯電話は,W-CDMAと呼ばれる方式のものである。そこで検討されている項目の中には,IPによる高速通信や,IPで音声通話を実行するVoIP(voice over IP)関連技術などが含まれており,こうしたIP関連の仕様開発ではインターネット技術の開発を担当するIETF(Internet Engineering Task Force)と協力関係を結んでいる。

 3GPPは,基盤ネットワークの中にIPv4およびIPv6を取り入れていくことを決めており,その実現技術を検討している。ただし,そこで使うIP技術は,基本的にIETFの成果をベースとなる。

 一方のIETFは,IPv6検討部会が3GPPの中でIPv6を使う際に考慮すべきことを検討しており,その具体的な推奨事項をまとめたインターネット・ドラフトを作成している。また,IETFは移動体端末向けのIPv6最小仕様に関するインターネット・ドラフトも作成済みである。

 第3世代携帯電話の推進団体には,CDMA2000方式の仕様作成を目的として発足した3GPP2(Third Generation Partnership Project 2)もある。こちらも3GPP同様,米国のTIA (Telecommunications Industry Association ),日本の電波産業会と電信電話技術委員会,中国のCWTS,韓国のTTAなどが参加しており,IPv6の導入を検討している。

 なお,NTTドコモ・グループが提供中の第3世代携帯電話「FOMA」は3GPPの99年版仕様(リリース99)を採用している。2002年には,J-フォンとKDDIが参入する予定だが,J-フォンは3GPPの2000年仕様(リリース2000)を,KDDIは3GPP2の仕様を採用する予定である。



3GPPにIPv6を導入する際の推奨方法案
http://www.ietf.org/internet-drafts/
draft-ietf-ipv6-3gpp-recommend-00.txt

移動体端末向けのIPv6最小仕様案
http://www.ietf.org/internet-drafts/ft-manyfolks-ipv6-cellular-host-02.txt