IP,TCP,IPv6など,インターネット上でやり取りされる各種の標準プロトコルは,IETF(Internet Engineering Task Force)が作成している。IETFは,テーマごとに作業部会(WG:working group)を設けてインターネット標準を作成しているが,その作業部会が作成するインターネット標準のたたき台となる案がInternet Draft(ID)である。

 IETFが作成するインターネット標準は,最終的にRFC(request for comments)と呼ばれる文書としてまとめられる。ただし,すべてのRFC文書がインターネット標準であるわけではない。

 RFC文書は,そのRFCの位置づけを表す「ステータス」が付けられている。インターネット標準とするための審議段階にあることを意味するステータスは「standard track」である。このほかのステータスとしては,外部機関が定めた参考資料などに付けられる「informational」や,実験目的のみの技術文書であることを意味する「experimental」がある。

 standard trackにある文書は,その仕様作成における成熟度を意味するステータスもある。成熟度の浅いものから順に,「proposed standard」,「draft standard」,「standard」となる。

 IDは,standard trackとして議論を進めるための原案となる仕様案。いわば,proposed standardのたたき台である。これは,WGのメンバーが作成する。IDは,まだ標準案とは呼べないレベルのものであるが,実際の製品に採用されるケースも少なくない。

 IDの寿命は6カ月である。この間に議論を重ね,仕様の改訂を行うなどして完成度を高めていく。ある程度完成したら,これをIESG(Internet Engineering Steering Group)に提出する。IESGは提出されたIDがproposed standardとしてふさわしいかどうかを審査し,ふさわしいと判断したらRFC番号を付与してRFC文書とする。ステータスはproposed standardとなる。IESGがIDが認めなかった場合,あるいは6カ月の間,改訂されなかったIDは,RFC化の候補から外れる。

 IPv6関連には数多くのIDがある。IPv6のWGが作成したIDとしては,ICMPv6やDNSの発見メカニズム,プライバシを守るアドレス割り当てなどがある。また,IPv4からIPv6への移行に関する技術を担当しているngtransと呼ばれるWGでは,SMTPあるいはDNSをIPv6環境で利用するための注意点をまとめたIDなどを作成済みである。



インターネット標準の作成プロセス
http://www.ietf.org/rfc/rfc2026.txt