Windows XPの新機能を体験しよう

第1回 Windows XPの“XP”とは?

豊田 孝

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 この連載では,2001年11月に出荷予定の「Windows XP」が搭載する最新機能と,その背景を,XPへの理解を助けるための補助プログラムを使って紹介していきます。毎回補助プログラムをダウンロードし,自分のWindows XP環境で実行すれば,Windows XPが搭載する新機能を,実感を持って理解できるようになるはずです。それではまず,Windows XPとは何かを考えることにしましょう。

Windows XPの「XP」とは何か?

 Windows 2000の「2000」は西暦2000年を表していることは,皆さんもご存知だと思います。では,Windows XPの「XP」にはいったいどのような意味が込められているのでしょう?おそらく多くの人が,「Windows XPのXPとは何だろう?」と思いをめぐらしているのではないかと思います。実は,私もその一人です。

 Windows XPのXPは「eXPerience(体験)」の略語であることはご承知の通りです。この“体験”とは,私たちユーザーが何かしらの体験をすることを示しているのは,想像に難くありません。では,私たちが体験することとは何でしょうか?

 「ユーザー・エクスペリエンスとはどういう意味ですか?」という問いに対して,マイクロソフトのWindows User Experienceチームは,インターネット上に次のような趣旨の回答を用意しています。

(1)ユーザー・エクスペリエンスは,ケーブルの配線からアプリケーションのインストールまでのすべてのタスクを含む
(2)ユーザー・エクスペリエンスには,目に見えるもの(例:アイコン)と目に見えないもの(例:自動起動されるタスク)がある
(3)ユーザー・インタフェースは,ユーザーによるアクションを必要とするが,ユーザー・エクスペリエンスは,ユーザー・インタフェースなしで実現できる

 この回答はかなり抽象的ですが,まとめると,Windows XPのエクスペリエンスは,大きく次の2種類に分類できます。

図1●ローカル エリア接続のプロパティ
図2●「詳細タブ」の「インターネット接続ファイアウオール」チェックボックスにチェックを入れる
図3●簡易ファイアウオール機能を有効にする前
図4●簡易ファイアウオール機能を有効にした後
図5●「セキュリティのログ」タブ
・能動的なエクペリエンス
“アイコンをダブルクリックして目的の機能を起動する”などの,私たちユーザーの能動的な行為

・受動的なエクスペリエンス
私たちユーザーの知らないうちに何らかの機能を実行するWindows XPの能動的な行為

 以上から,私たちがWindows XPの機能,特に最新機能を使用する場合には,「能動的なエクスペリエンス」と「受動的なエクスペリエンス」という2つの視点を持つことが重要といえるでしょう。それでは,これらの2つの視点から具体的なWindows XPの最新機能を実際に検討してみましょう。

Windows XPの簡易ファイアウオール機能

 Windows XP(RC1)には簡易ファイアウオール機能が搭載されています。ファイアウオールという用語をはじめて目にした人は,ファイアウオールとは,インターネットから自分のコンピュータに送信されてくる,不正なアクセス要求を事前に防止する機能である,と考えておいてください。

 今回は,Windows XP (RC1)に新しく追加されたこの簡易ファイアウオール機能を,「能動的なエクペリエンス」と「受動的なエクスペリエンス」という2つの視点から具体的に検討してみます。ただし,今回は連載第1回ということもあり,簡易ファイアウオール機能を有効活用するための詳細説明までは踏み込みません。本格的な説明は次回以降に譲ります。

能動的なエクペリエンス

 Windows XP(RC1)の簡易ファイアウオール機能は複数の方法で操作することができますが,今回は次の手順で操作してみることにします。Windows XP(RC1)をお持ちでない方は,画面情報を参考にして,感覚をつかんでください。

ステップ1:「スタート」メニューから「コントロールパネル」を開く
ステップ2:「ネットワーク接続」オブジェクトをダブルクックする
ステップ3:「ローカルエリア接続」オブジェクトを右クリックする
ステップ4:「プロパティ」を選択する

 ステップ4を終了すると,図1[拡大表示]の画面が表示されます。

ここで「詳細」タブを開くと,図2[拡大表示]の画面が表示されてきます。

 ここで「インターネット接続ファイアウオール」チェックボックスにチェックを入れると,簡易ファイアウオール機能が有効になります。このファイアウオール機能を有効にするという行為は,私たちの主体的な選択行為ですから,能動的なエクスペリエンスである,ということができます。

 ちなみに,このファイアウオール機能の有効度を知りたい方は,インターネット上で公開されている(シマンテック参照)などの無料セキュリティ・チェック機能を利用してみるとよいでしょう。簡易ファイアウオール機能を有効にする前後の結果を比較すると,今後のセキュリティ対策を立てる上での参考情報が得られます(図3[拡大表示],図4[拡大表示])。

 それでは次に,受動的なエクスペリエンスの視点から簡易ファイアウオール機能を検討しましょう。

受動的なエクスペリエンス

 先ほどの「詳細」タブ画面の右下には「設定」という名称のボタンが配置されています。このボタンをクリックすると図5[拡大表示]の画面が表示されます。

 図5では,3つあるタブのうちの,「セキュリティのログ」タブが選択されています。タブ画面をじっくり見ると分かると思いますが,インターネットから自分のコンピュータへのアクセス状況を記録する機能が提供されているわけです。ログ・オプション,ログ・ファイル名,そしてその作成位置を設定すると,インターネットから私たちのコンピュータへのアクセス要求がモニターされ,選択したログ・オプションに応じた情報がそのファイル内に自動的に記録されます。例えば,次のような情報が記録されます。

#Verson: 1.0
#Software: Microsoft Internet Connection Firewall
#Time Format: Local
#Fields: date time action protocol src-ip dst-ip src-port dst-port size tcpflags tcpsyn tcpack tcpwin icmptype icmpcode info
2001-10-01 09:32:46 DROP TCP 211.8.XXX.XXX 210.20.XXX.XXX 3087 515 60 S 3558122356 0 32120 - - -
2001-10-01 09:32:49 DROP TCP 211.8.XXX.XXX 210.20.XXX.XXX 3087 515 60 S 3558122356 0 32120 - - -
(以下省略)

 TCP,プロトコル,送信元IPアドレスや送信先IPアドレス,ポート番号などの情報が記録されていることが分かりますね。本日はこれらの項目の説明は割愛します。次回以降の連載では,このレベルの知識もしっかり身に付けます。

 これらの情報の収集行為は,私たちが自発的に行っているわけではありません。Windows XPが背後で行っているのです。このため,このWindows XPによる情報収集行為は,受動的なエクスペリエンスである,といってよいでしょう。

 以上で,Windows XPの“エクスペリエンス”のイメージがつかんで頂けたかと思います。これら2つの視点は,今後の連載でも必要に応じて取り上げていきたいと考えています。

今回の補助プログラムについて

図6●補助プログラム実行画面(その1)
図6●補助プログラム実行画面(その2)
 先ほど簡易ファイアウオールを有効にする手順を紹介しましたが,4つのステップを経る必要があり,かなり面倒でした。そこで,本日は「No1FireWallStart.exe」という名称の補助プログラムを用意してみました(ダウンロードはこちら)。このプログラムは,ネットワークの設定を,画面に表示された番号を指定して簡単に行うプログラムです。実行すると,表示される画面から目的の項目を選択するだけで,簡易ファイアウオール設定画面を開くことができます。表示される画面例を図6[拡大表示],図7[拡大表示]に示します。

 ご覧のように,表示されるのは簡単な画面です。簡単なだけに,皆さんにとってはなじみやすいのではないでしょうか。この補助プログラムはWindows 2000とWindows XPの両環境で動作しますから,Windows 2000をお使いの方も試してみてください。Windows 2000からWindows XPへの変化が一目瞭然です。なお,補助プログラムの動作背景に興味ある方は,「10行のプログラムで分かるWindows 2000/Windows XPの世界」を一読されるとよいでしょう。

 Windows XPの製品版は正式には2001年11月16日に店頭に並ぶ予定です。このため,当分の間はWindows XP(RC1)を使って,新機能を紹介していきたいと思います。一部の読者の方はWindows XP(RC1)をお持ちでないでしょうから,製品版が出荷されるまでは,「スタート」メニューやデスクトップなどのユーザー・インタフェースとその背景を紹介していく予定です。毎回用意する補助プログラムは基本的にWindows 2000とWindows XPの両環境で動作しますから,Windows XP(RC1)をお持ちでない方は,使用中のWindows 2000環境で実行され,本記事内で紹介されるWindows XP RC1出力画面と比較されてください。ということで,次回は「スタート」メニューからWindows XPの最新機能を検討することにします。それでは次回またお会いいたしましょう。ごきげんよう!