■はじめに

 ネットワークと聞くと,多くの人はインターネットを想像することでしょう。それでは,インターネットとは何でしょうか? ネットワークというものは,インターネットだけなのでしょうか? この講座では,日ごろインターネットに慣れ親しんでいる皆さんに,もう一歩だけ深く,ネットワークの世界へ足を踏み入れていただきたいと思います。それによって,いままで何気なく耳にしてきたネットワーク関連の専門用語が,生きたものとして聞こえてくるようになるはずです。

図1●インターネットは世界を結ぶ通信網である

■あらためてインターネットとは?

 インターネット(internet)とは,世界中のコンピュータを相互に接続した,巨大なネットワークのことです。インターネットの「インター」はinteractive(相互の)もしくはinternational(国際的な)を表し,「ネット」はnetwork(通信網)を表しています。すなわち,インターネットとは,「世界中のコンピュータが相互に接続された通信網」のことです(図1[拡大表示])。

図2●途中の経路の媒体は何でも構わない
 この通信網を形成する媒体は,一般電話回線でも,光ケーブルでも,もしくは電波でも構いません。何らかの形で,コンピュータの情報を伝達できればよいのです。コンピュータの情報は,デジタルな電気信号になっていますが,通信網を通るときには,アナログの音声信号に変換されたり,光の信号に変換されたり,もしくは電波の信号に変換されたりします。情報を送る側のデジタルな電気信号が,情報を受け取る側でも同じデジタルな電気信号になるなら,途中の経路の媒体は問いません。だからこそ,世界中のコンピュータを接続できるのです。(図2[拡大表示])。

■インタラクティブなインターネット

 インターネットでは,「インタラクティブ(interactive)」が重要なキーワードです。これは,インターネットに接続されたコンピュータが,お互いに対等な立場にあることを示しています。世界のどこかに巨大なコンピュータがあり,インターネットのすべてが管理されているわけではないのです。

図3●パソコン通信とインターネットの違い
 このことは,一昔前のパソコン通信とインターネットを比較してみれば,よく分かるでしょう。パソコン通信では,それを運営している企業(NIFTY Serve,PC-VAN,日経MIX,ASCIIネットなどが代表的でした)が,管理用のコンピュータを持ち,パソコン通信に登録したユーザーが,管理用のコンピュータを共同で利用する形態になっていました。それに対して,インターネットには管理用のコンピュータが存在しません(図3[拡大表示])。

 「インターネットは,軍事目的で開発されたARPANET(アーパネット)を基にして誕生した」という話を聞いたことがあるでしょう。ARPANETは,国内もしくは世界各地に散在している軍事基地の一部が破壊されても,コンピュータによる通信網が存続できることを目的としたものです。もしも,パソコン通信と同様に管理用のコンピュータを使う仕組みを採用したなら,そのコンピュータさえ破壊してしまえば通信網が途絶えてしまいます。これは,パソコン通信を運営する会社が休みになったようなものです。ARPANETでは,各地に散在するコンピュータを対等な立場にすることで,この問題を解決しています。それが,そのままインターネットの形態として引き継がれたのです。

■インターネットとLAN

 皆さんのメールアドレスの末尾には,xxxxxx@nikkeibp.co.jpのように,アットマークに続けて企業名などがあるはずです。これを「ドメイン名」と呼びます。ドメイン(domain)とは,「領土」や「グループ」という意味です。ドメイン名は,企業内のネットワークであるLAN(Local Area Network:「ラン」と呼ぶ)の名前なのです。

図4●インターネットはLANを結ぶもの
 LANとは,文字通り「ローカルな(狭い)エリアのネットワーク」のことです。1つの事務所やビルディングの中にあるネットワークがLANです。インターネットでは,世界中のコンピュータを1台ずつ接続することも可能なのですが,それではあまりにも煩雑なので,LANの単位でインターネットに接続することが一般的となっています。したがって,インターネットとは何か? という質問の答えは,「世界中のLANが相互に接続された通信網である」とも言えます。

 LANの中には,管理用のコンピュータ(サーバーと呼ばれます)が存在します。したがって,LANは企業内のパソコン通信のようなものです。管理用のコンピュータからインターネットに接続することで,結果として企業内のすべてのコンピュータがインターネットに接続されます。自宅にあるコンピュータの場合は,プロバイダ(インターネット接続サービスを提供する会社)の持つ管理用のコンピュータからインターネットに接続することになります(図4[拡大表示])。

■おわりに

 今回は,インターネットとLANを説明しました。この2つが,基本的なネットワークの形態です。次回からは,ネットワークを実現するための様々な仕組みを見ていきたいと思います。「ネットワークなんて使えればいいんだ」などとおっしゃらずに,お付き合い下さい。

【今後の予定】
第2回 ネットワークのハードウエア
第3回 ネットワークのソフトウエア
第4回 プロトコル
第5回 データ伝送技術