■はじめに
今回は,ネットワークで伝送されるデータの形式や,データの伝送方法などを説明します。ネットワークでは,送信先に正しくデータを伝送することが要求されます。そのためには,伝送のタイミングを合わせたり,データの誤りを検出及び訂正する仕組みが必要となります。
■伝送速度とデータ長
「伝送速度」とは,1秒間に何ビットのデータを伝送するかを表すものです。伝送速度の単位は,bps(ビー・ピー・エス,bit per second)で表されます。当然のことですが,データの送信側と受信側で伝送速度が一致していなければ,正しくデータを伝送できません。
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図1●伝送速度が異なると正しくデータを伝送できない |
意味のあるデータが何ビットで構成されているかを「ビット長」と呼びます。ビット長は,一般的には8ビットですが,英文のデータだけを送る場合には,7ビットが使われることもあります。もちろん,送信側と受信側でビット長を合わせなければ,正しくデータを伝送できません。
■非同期式と同期式
データを伝送する場合には,データの送信側と受信側でタイミングを合わせなければなりません。これは,「よーいドン!」でデータを受信し始めるタイミングです。タイミングを合わせることを「同期(どうき)を取る」と呼びます。同期の取り方には,「非同期式」と「同期式」の2つがあります。
非同期式は,データの先頭に「スタート・ビット」を付け,データの末尾に「ストップ・ビット」を付けるものです。1という1ビットの信号をスタート・ビットとし,0という1ビットをストップ・ビットにします。
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図2●非同期式の伝送 |
非同期式は,8ビットのデータの前後にスタート・ビットとストップ・ビットを付加しているため,効率の悪いものとなります。8ビットの情報を伝送するために,10ビットが必要となるからです。非同期式は,コンピュータとモデムを接続するような,比較的低速なデータ伝送で使われます。
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図3●フレーム同期による伝送 |
■誤り制御
ネットワーク・ケーブルを通過中のデータが,何らかのノイズによって壊れてしまうことがあります。デジタル・データが壊れるとは,0である部分が1に,1である部分が0になってしまうことです。壊れたデータであっても,デジタル・データとして処理することはできますが,内容が間違っているのですから,意味がありません。そこでネットワークには,データの誤りを検出し,場合によっては自動的に修正する「誤り制御機能」が装備されています。
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表1●誤り制御の種類 |
■データの衝突を避けるCSMA/CD方式
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図4●CSMA/CD方式 |
CSMA/CD方式では,データを送信したいコンピュータが,ネットワーク・ケーブル上に他のデータがなくなるまで待つようにします。偶然にも,他のコンピュータと同時にデータを送信してしまった場合は,ネットワーク上のすべてのコンピュータにデータを破棄するように伝え,もう一度データを送信し直します(図4[拡大表示])。
■おわりに
この講座では,すべてのIT技術者が身に付けておくべき,ネットワークの基礎知識を説明してきました。何事でも基礎をマスターするほど心強いことはありません。ネットワークを取り巻く技術は,今後も進化発展を続けて行くはずですが,基礎知識に照らし合わせて考えれば必ず理解できるはずです。皆さんのご健闘をお祈り申し上げます。