■顧客の分析が重要

 さらに,すべての顧客を同一的に見るのではなく,顧客を分析します(表1)。そのために,単純なポイント・カードではなく,会員制度を作り,カードを発行し,住所や氏名,年齢,職業,家族構成など,できるだけたくさんの情報を取ります。そして,どのようなお客が,いつ買い物をしているか,何回買っているか,購入金額はいくらか,などを分析します(このことをRFM分析といいます)。そして,購入回数と金額が多く,最近も買ってくれている客ほど,企業に貢献度の高い顧客として段階的に評価し,様々な優待する制度を作り,何回も購入してもらうようにします。これを「ロイヤリティを上げる」といいます。

 代表的な例は,航空会社のマイレージ制度です。マイレージが貯まると,ビジネス・クラスやファースト・クラスへのアップデートや,無料航空券の取得ができます。そして,会員カードもゴールド・カードなどにアップデートします。すると,空港のVIPルームが使え,並ばなくてもチェクインができ,搭乗までゆったりしたソファーで無料の飲み物を飲みながら待つ,といったことができるようになります。こうなると,顧客は,特別の理由がない限り,他の航空会社を使わなくなるでしょう。

 もう一つ,顧客分析で大事なテーマがあります。それは,顧客の買い物のパターン(バスケット分析といいます)を調べ,どんな商品を用意するかを調べることです。スーパー・マーケットの顧客の買い物の分析が有名です。あるスーパーでは,若い男性で紙オムツを買う人は,ビールも一緒に買うことが多い,ということが分かりました。一見何の関係も無い買い物のように思いますが,家に乳飲み子のいる旦那さんは,奥さんの代わりに買い物をし,その時に自分が飲むビールも一緒に買い物をしていたのです。そこで,そのスーパーは酒類のコーナーだけでなく,オムツ売り場にもビールを置き,ビールの売上げを伸ばしたのです。これもCRMの重要な成果です。あらかじめお客の買い物が分かっていれば,最適な品揃えができますし,効率的な陳列,在庫投資も可能です。しかし,このような事が分かるには,いろいろな顧客の買い物の膨大なデータベースを分析しなければなりません。この点で,データ・ウエアハウス,多次元分析解析など,様々な手法とツールが威力を発揮するのです。そして,価値あるデータを見つけることをデータ・マイニングと呼んでいます。

表1●CRMでは顧客の分析が必要となる
CRM マス・マーケティング
テーマ 顧客シェアの獲得 市場シェアの拡大
顧客観 多様な個性を持つ 均一な存在
手法 顧客の選別 幅広い広告宣伝