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太田 俊哉

 もともとUNIXは,コンピュータに詳しい人が,コマンド・ベースで運用するのが一般的なOSでした。しかし現在では,あまりコンピュータに慣れていない人でもコンピュータを使うようになってきました。Linuxを使うときも,複雑なコマンドを覚えるよりも,最低限の設定をわかりやすい環境で行ない,後は特定のアプリケーションを使うようになってきました。そのために,分かりやすいユーザー・インタフェースで管理するためのツールも用意されるようになってきました。

 現在,ほとんどのディストリビューションには,メニュー形式あるいはGUI形式の管理ツールが付属しています。また,Linuxでも動作する市販の管理ツールも数多く用意されて来ています。今回は,そんな管理ツールを紹介します

管理ツールの利点と欠点

 管理ツールの最大の目的は,管理を容易に行い,楽をすることです。多くのコマンドの使い方を覚える必要性をなくし,直感的なインタフェースや,データ入力時のエラー・チェックを行うことで,ミス・オペレーションを軽減します。このような機能は,決して初心者だけではなく,熟練したrootにとっても大変に便利です。コマンドに慣れているとは言っても,やはりミス・オペレーションはゼロにはできないからです。

 もちろん,管理ツールを使っても,それが何をしているかを理解しておく必要はあります。ツール類は形式的なチェックはできても,論理的なチェックはできないからです。

 例えば,IPアドレスを設定する場合を考えてみましょう。IPアドレス設定時には,同時にnetmaskの値も設定しなければなりません。大きな社内のネットワークで,IPアドレスを10.xx.yy.zzのように割り当てる場合,往々にして管理ツールは気を利かせて,netmaskを 255.0.0.0 に設定してしまうことがあります。しかし,実際にはサブネットに分割して使うのが普通です。IPアドレスとnetmaskの関係が理解できていないと,管理ツールの設定をそのまま使い,トラブルが発生してしまうことになりかねません。

 また,市販の管理ツールを使う場合,必ずしもすべての項目を設定できるとは限りません。管理ツールが設定する項目だけでは不十分な場合,手作業で直さなければならないことも出てくる場合があります。しかし,管理ツールの結果を手作業で修正した場合,サポートが受けられなくなってしまう可能性もあります。

図1●CUIベースの管理ツール

管理ツールの例

(1)キャラクタ・ベースの管理ツール

 キャラクタ・ベースの管理ツールは,ほとんどのディストリビューションに付属しています。例えば,RedHat 7.1Jには図1[拡大表示]のような管理ツールが付属しています。

 キャラクタ・ベースの管理ツールを利用すると,他のマシンからリモートで操作できるというメリットもあります。

(2)GUIベースの管理ツール

 GUIベースの管理ツールも,最近のディストリビューションに付属しているものが多数あります。また,市販のGUIベースの管理ツールもあります。例えば,ホライズンデータエンタープライズが販売している「HDE Linux Controller」は,ブラウザを使って管理を行うことができます(図2[拡大表示])。

図2●GUIベースの管理ツール「HDE Linux Controller」

システム管理のポイント

 本来,管理作業はコンピュータを使うための補助的な作業です。いかに手間をかけないか,いかに楽をするかを考え,そのために最適な方法を選ぶ必要があります。実際,管理にかかる工数は意外と多くなります。

 また,学習のコストも考えねばなりません。特に,LinuxやUNIXの操作に慣れていない人を,一定水準の管理者にまで持ち上げるための教育コストはかなりかかります。ですから,わかりやすい,初心者にも配慮した管理ツールをうまく使えば,トータルな管理コストを削減することが可能になります。

 しかし,管理ツールを使うのはよいのですが,管理ツールを使うことが目的にならないように気をつけなければなりません。使い勝手を向上するためにツールをカスタマイズするうちに,カスタマイズが目的にならないよう,気を付ける必要があります。

 また,自分一人だけが使うマシンを管理する場合は何をやってもかまいませんが,他の人と共同で管理する場合は,ほかの人に分かるような心配りをする必要があります。かといって,あまり厳密な管理体系を組み上げてしまうと,使う方も管理する方もくたびれてしまいます。ある程度余裕(遊びとも言います)を作っておくとよいでしょう。例えば,host名を自由に付けられるなどの裁量をrootに割り当てるだけで,ずいぶんと違うものです。

 また,自分自身で何でもこなそうとすると,24時間対応しなければならなくなってしまいます。割り振れるところはいかに他の人に割り振るか,引き継げるようにするかも重要です。真のhackerはなかなかいないものですが,一定水準のrootならば育てることは可能だからです。うまく工夫し,皆が幸せになれるようにすることを期待します。