豊田 孝
図1●ユーザー・アカウント情報(Windows XP) |
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図2●ユーザー・アカウントの種類情報(Windows XP) |
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図3●サンプル・プログラムの実行結果 |
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図1はユーザー・アカウントの基本説明を行うのではなく,どちらかといえば,使い方を説明しています。じっくり説明内容を読んでみると,ユーザー・アカウントは次のような意味を持っていることが分かります。
“ユーザー・アカウントは,他のユーザーから個人のプライバシを守る情報である”
それでは次に,ユーザー・アカウントにはいったいどのような種類があるのか調べてみましょう。先ほどと同じようにWindows XP環境で「スタートボタン>コントロールパネル>ユーザー アカウント>ヘルプ枠のユーザーのアカウントの種類」の順にマウスをクリックすると,図2[拡大表示]のようなユーザー・アカウントの種類情報が表示されます。
図2は,ユーザー・アカウントには2種類あることを教えてくれています。つまり,これらの2種類のユーザー・アカウントをうまく使い分ければ,他のユーザーから自分のプライバシを守ることができる,と言っているわけです。ユーザー・アカウントはたったの2種類ですから,物事は極めて単純そうに思えます。それではここで,単純なサンプル・プログラムを実行し,私たちのコンピュータに現在作成されているユーザー・アカウントを実際に調査してみましょう。
本日のサンプル・プログラム
まずはいつものようにこちらからサンプル・プログラムをダウンロードし,返される結果を確認しましょう。私のWindows XP環境では図3[拡大表示]のような結果が返されました。
私は,所有する1台のコンピュータを完全な実験機と位置づけ,Windows XPをデフォルト・インストールの状態でルーター+CATVモデム経由でインターネットに接続しています。図3はこの実験機上で今回のサンプル・プログラムを実行した結果です。
返されてきた情報の先頭を見ると分かるように,44個のユーザー・アカウントが作成されています。すべてのユーザー・アカウント情報が表として表示されますから,まずは自分の環境から返される情報をじっくり眺めてください。環境に応じてさまざまな情報が返されるはずです。その上,返される情報自体も複数存在することが分かるはずです。結果的に,おそらく,ほとんどの人は,次のような結論を得るはずです。
“ユーザー・アカウントはたったの2種類かもしれないが,物事は当初考えたほど単純ではない。”
返される情報には,SID(Security ID)などの用語が含まれます。そして,SIDを「ヘルプとサポート」などで調べると,ACE(Access Control Entry)などの用語が登場するはずです。ここでは,これらの用語の意味を解説する余裕はありませんので,興味のある人は,SIDについてはこちらを,ACEについてはこちらをそれぞれ参照してください。
サンプル・プログラムの機能と拡張上のヒント
本日のサンプル・プログラムはリスト1のようになっています。基本的にはこれまでのサンプル・プログラムと同じように,前回触れたDMTFという標準化団体が作成した基本クラスから派生したクラスである「Win32_Account」クラスを応用しているにすぎません。
ユーザー・アカウントは重要ではあっても,平均的なWindowsユーザーには敷居が高い概念です。このような場合,ユーザー・アカウントが1つのクラスとして定義されていることは大変ありがたいことです。クラスはオブジェクト指向の中心概念ですが,クラスはVBScriptなどの簡易言語からも利用できますから,ユーザー・アカウントへの敷居が低くなると期待できます。
それでは拡張上のヒントを紹介しましょう。プログラミング学習を始めて間もない人は,前回と同じように,表の色や先頭に表示される文字列メッセージなどを自由に変更してみてください。表の色の変更は,HTMLタグの変更ですから,それほど難しいことではありません。
プログラミングに慣れている人は,NameやSIDTypeプロパティなどをIf条件に追加し,必要な情報のみを表示させてみるとよいでしょう。IISや.NETフレームワークなどをインストールすると,新しいユーザー・アカウントが追加されます。ユーザー・アカウント情報がどんどん増えていきますから,必要な情報のみを表示させることは意外と便利なテクニックです。ぜひ挑戦してください。
本日は以上で終了です。次回またお会いいたしましょう。ごきげんよう!