企業システム構築にJavaを導入済みの企業は全体の54.7%。従業員3000人以上の大企業での導入実績は81.1%に達する。一方、従業員100人未満の小企業では「Java導入済み」合計は37.7%とまだ低い――。「大きい会社ほど普及が進んでいる」傾向がはっきりしました。
企業システム構築にJavaを導入済みの企業は全体の54.7%。従業員3000人以上の大企業での導入実績は81.1%に達する。一方、従業員100人未満の小企業では「Java導入済み」合計は37.7%とまだ低い――。
これは、この2003年8月26日から9月4日にかけて、Webサイト上のアンケート・ページを使って実施した「システム環境実態調査」の結果です。ユーザー企業のコンピュータ系技術職を中心に1272件の回答が集まり、それを分析したところ、このような傾向が分かりました。
Java技術の普及は進んでおり、もはや珍しいものではなくなりました。その一方で、「大きい会社ほど普及が進んでいる」傾向がはっきりしました。
J2EEは、複雑な企業システムをターゲットとしているので、その内容も複雑です。大企業ほど導入が進んでいる背景には、こうした事情もありそうです。
一方、小企業は、いわば「穴」となっています。企業規模が小さい会社向けの有効な開発スタイルが出てくると、ヒット商品になる可能性もあるかもしれません。
2003年6月のJavaOneで米Sun Microsystems社が提唱したEoD(Ease of Development)というコンセプトは、これらの「まだJavaを使っていない会社」を意識したものでした。新APIであるJSF(JavaServer Faces)をサポートするビジュアル開発ツールProject RAVEは、まさにこうした層、つまり従来はMicrosoftのASPや、スクリプト言語処理系のPHPなどを使っている企業ユーザーを主なターゲットとしています。
この「システム環境実態調査」は、日本IBMが実施中の「企業システム オンデマンド適性診断」という企画のための「プレ調査」として行われたものです。その狙いは、システムの「世間の相場」を調べ、それを元に「自分の会社のシステムのシステムが、世間の相場に比べてどのような水準にあるか」という『偏差値』を調べる、というもの。詳細は関連記事を見て頂くとして、その「見出し」を並べてみました。
(1)エンドユーザーのシステム利用環境――インタフェースの統一進む
(2)システムの提携・統合――複雑化が進む一方、統合はこれから
(3)DB統合――複数のDBの効率的な運用が課題
(4)セキュリティ――シングル・サインオンはまだまだ
(5)システム開発――小規模プロジェクトが多数派
これを見ると、今後の「課題」がある程度見えてきます。一つの企業に複数のシステムが並立するのが当たり前となった今、それらをどのように連携させるか(なんらかのミドルウエアを使うか、Webサービスを使うか、等)。同様に、複数のデータベースがすでにある状態で、どのような統合が可能か。シングル・サインオンの導入。小規模プロジェクトを効率的に回すための方法論。
こうした状況は情報システム部員の方々にとっては先刻承知の内容かとは思いますが、数値化されたている点がポイントです。これに興味を持たれた方は、ご自分の「偏差値」を調べてみるのも一興ではないでしょうか。