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 活字と紙のメディアから,インターネットで発信するメディアの部署に異動して,もはや丸2年になった。「職住分離」「仕事は家庭に持ち込まない」と称して,自宅にはパソコンを導入せずにつっぱっていたのだが,よんどころない事情もあって,4カ月ほど前から,とうとうノート・パソコンとCATVインターネット接続を入れることになってしまった。

 だが,気が付いてみると,思ったほどこのパソコンが活躍していない。稼働している時間が短いわけではない。帰宅してから,気が付くと深夜まで,ネットでニュースを探していたり,私用のための情報や商品探しをしていたり,けっこうな時間を使っている。だが,どうも「パソコンが生活のなかで活躍した」実感がないのだ。

 家人の病気などもあって,医療関連などについてずいぶんといろいろな情報を入手させてもらったし,インターネット通販で購入したことで割引を受けられた商品も2,3はある。だが,なんだか最近,「インターネットはつまらない」のだ。

 一つには,ネットの情報にしても,通販の商品にしても,意外に「幅と奥行きがない」こと。膨大な利用者,発信者が存在するかのように見えるネットの世界だが,一通り探し回ってみると意外なほど,目的の商品や情報は見つからないのである。

 そして,「今は見つからないけれど,出てくるとしたらここだろうな」と思えるような,良質な情報や商品の集まるサイトが,どの主題でも,たいてい1つしかないのだ。「複数のサイトが競い合って質を高める」という動きが,どうも感じられない。優秀な情報発信者は,「類が友を呼ぶ」感じで1カ所のサイトの掲示版などに集まって,腰を落ち着けてしまうようだ。

 実は,インターネットを中心に,IT関連の情報を集めて整理,ご提供している仕事の方も悩みが多い。

 「ITを積極的に利用する」とか「eビジネスに取り組む」と言われても,企業活動として当然のことであり,その企業としての必然性が伝わってこない。ソフト/情報サービス会社の「ASPサービスでの提供を検討する」も同じこと。

 新規参入のドットコム(もどき?)企業の,やけに手慣れているプレゼンにも時々へきえきする。薄っぺらな思いつき先行で,「こんなこともできそうだし,そんなに真剣な使われ方に耐えられるかどうかなんて検証したわけじゃないけど,金ださない?」といった感じだ。「ニーズから出た」という実体感に乏しく,情報としてご提供するに忍びない。

 逆に,あまりにも巨大化したため,どこに何の改良を加えたのか,他社製品と比べてユーザーにどんなメリットを与えてくれるのか,ちっとも説明がなされないERPやCRM製品。これも困ったものである。

 ただ,膨大な情報からポイントを抽出して整理・ご提供できないのは,記者の側の理解・咀嚼(そしゃく)能力不足を反省するべきものでもある。精一杯の取材努力もせずに,「さらなる情報公開が求められる」と書き逃げてしまう記事はこれ以上見たくもない。

 インターネットに渦巻く情報のなかで,本当に必要なものは何か。改めて見直し,この沈滞感を突破するために,BizITはIT Proに生まれ替わりました。弊社の数多くの媒体の優秀な記者,記事を活用した,これまでより格段に「幅と奥行きがある」IT情報のソースとなることを目指しています。

 まだ若干ながらシステムのインフラや,ワークフローに混乱があり,昨日は読者の皆様にご迷惑もおかけしました。

 「面白かったBizIT」から「これから面白いIT Pro」へ,われわれは再度チャレンジを始めます。どうかご指導,ご鞭撻をよろしくお願いします。

(千田 淳=IT Pro副編集長)