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 米Intelが米国時間1月17日に大規模な組織再編を発表した(関連記事)。これまで同社の製品関連の事業は,製品/技術の形態別に分類した4つの事業本部を中心としたものだったが,新体制では大幅に刷新する。同社の推し進める戦略を組織構造にも反映させるものという。

■初の販売/マーケティング出身CEO

 同社の社長兼COOであるPaul Otellini氏は今年5月にCEOに就任する。 Otellini氏はIntelの歴代CEOとは異なる経歴を持つ人物だ。これまでのCEOは,Robert Noyce氏,Gordon Moore氏,Andy Grove氏,Craig Barrett氏と,いずれも博士号を持つ科学者である。これに対し,Otellini氏は,販売/マーケティング部門で実績を上げた人物として知られている(関連記事)。初めての技術畑出身ではないCEOとなる。

 今回の機構改革はOtellini氏の意向が強く働いたものとも言われている。新CEOはIntel社をどう変えていこうとしているのだろうか。今回は同社の資料,過去のUS News Flashや米メディアの報道から,Intel社の新体制がどう変わるのかをまとめてみる。

■赤字続きの通信部門を解体し,各事業本部へ振り分け

 これまでIntel社の製品関連事業は次の4つの事業本部で構成していた。(1)デスクトップPC分野の「Desktop Platform Group」,(2)ノートPC分野の「Mobile Platform Group」,(3)サーバーやワークステーションの「Enterprise Platform Group」,(4)通信機器分野の「Intel Communications Group」。これが新体制では次のようになる。

(1)「Mobility Group」:ノートPC,ハンドヘルド機器,通信機器のプラットフォーム
(2)「Digital Enterprise Group」:企業向けコンピューティング/通信のプラットフォーム
(3)「Digital Home Group」:消費者向けコンピューティング/通信のプラットフォーム

 (1)は「さまざまなモバイル機器を連携させ使いやすくすることに主眼を置く」(同社)ということで,携帯電話やPDAなどもここに入ると考えられる。(2)は企業向けのソリューション事業。これまで同様,企業向けPC,サーバー,ワークステーションといったものを扱う。(3)は家庭のエンターテインメント用アプリケーション/機器に注力するという事業で,デジタル・ホーム向けPC/家電向けなどを扱っていく。またこれに加え,医療関連の「Digital Health Group」と,チャネル向け製品の「Channel Products Group」も新設した。

 実は(1)(2)(3)には共通点がある。まず,通信の事業本部だったIntel Communications Group(ICG)を廃止したことで,この3事業本部のそれぞれで通信分野も扱うことになるという点。ICGは,同社が掲げるスローガン「コンピューティングと通信の融合」を推し進めるため,2004年1月に同社の通信関連事業を1グループにまとめて設立された。その役割は,通信/携帯電話/ハンドヘルド機分野の事業を一手に担うこと(関連記事)。だが同事業の業績は赤字続きだった。そこで赤字部門を解体し各事業本部に振り分けた(関連記事)。

 再編の目的はそれだけではない。Intel社は“コンピューティング/通信の融合”をあきらめたわけではないし,むしろ,これをさらに推し進めるという考えである。それを示すのが3部門に共通するもう1点――。「プラットフォーム」という言葉だ。

■「消費者が求めるものは何か」を起点に

 この言葉は同社の発表資料の中であちこちに登場する。例えば「プラットフォームに沿った組織改革」というタイトル。本文中にも「プラットフォームをベースした組織構造は,推進中の“コンピューティングと通信の融合”を反映したもの」とある。同社がここで意味するプラットフォームとは,プロセサ,チップセット,通信用チップ,ベース・ソフトウエアなどの“材料”となる技術を組み合わせたもの。少し分かりにくいのだが,「その第1弾がCentrinoだった」という説明を読むと話が見えてくる。

 同社がCentrinoを立ち上げたのは今から約2年前(関連記事)。「Pentium M」と対応チップセット「855」,無線LANモジュール「PRO/Wireless」を組み合わせて提供し,この3つを搭載したノートPCにCentrinoブランドを付けた。同ブランドのパソコンは互換性や性能,消費電力の点で優れていると訴えたのだ。うがった見方をすれば,無線LANの普及に便乗したIntel社のノートPC戦略だったとも言えるのだが,これが成功したことは確か。最近では,ノートPC市場における同社製品のシェアは87%という調査結果もある。

 今回の組織再編はこのCentrinoの成功事例を踏襲したものとなる。プラットフォームとは,すなわち,顧客や用途/ニーズ別の基盤のこと。これまでのように開発や業務の形態ではなく,マーケティングごとに分類して組織を再構築するのだ。