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 日本では,ライブドアによるニッポン放送株取得やフジサンケイグループとの問題が世間を賑わしているが,米国ではここ最近,ちょうどこれと逆のことが起こっている。既存メディアによるインターネット企業の買収,あるいは株式取得による資本/業務提携だ。

 なかでも新聞大手3社がニュース収集サイト米Topix.netの株式75%を取得したという話が興味深い。この大手3社とは,(1)USA TODAYを持つ米国最大の新聞グループGannett社,(2)31の日刊紙を持つ米国第2位の新聞社Knight Ridder社,(3)そしてLos Angeles Times, Chicago Tribuneなど14の日刊紙のほかテレビ局も持つTribune社。こうした大手が今,インターネット関連/技術の企業に興味を寄せている。日本とはだいぶ事情が違うといった感じだが,その背景には何があるのだろうか。資料や業界関係者の見解などをみながら考えてみる。

新聞大手3社が株式を取得したTopix.netとは?

 まずは今回,Gannett社,Knight Ridder社,Tribune社の3社が株式を取得したTopix.net社についてみてみよう。

写真1●Topix.netの「科学/技術」ページ
左に「Linux」「Open Source Software」「P2P」など細かい分類がある
 同社は,2002年に設立し,2004年初めにサービス「Topix.net」を開始した。新聞,雑誌,ラジオ,放送局やブログなど,ネット上の1万以上のニュース・ソースから収集したニュースを,30万以上のトピック(カテゴリ)に分類してしている。またメールによる通知やRSS配信,提携サイトへのコンテンツ提供も行っている。Topix.net社は,広告と提携会社へのコンテンツ提供で収入を得ているが,2004年12月には黒字化したとのことだ(関連記事)(米InfoWorldの記事)。

 同サービスの特徴は,収集したニュースの自動カテゴリ分け。人工知能アルゴリズムに基づいたコンセプト・ベース(キーワード・ベースではない)によってニュースを関連性や,業界別,郵便番号で分類する「NewsRank」技術を使っている。またこの技術でニュースの重要度を17段階で評価し,その数値をヘッドライン脇に表示している(写真1[拡大表示])(同社資料)。

カテゴリ分けから重要度評価まですべてを自動化

 技術の詳細については公開していないが,同社CEOのRich Skrenta氏の説明によれば,これは,一筋縄ではいかない難問へのチャレンジだったという。例えば,記事の情報源をベースにして分類してみてもうまくはいかない。オンライン・メディア分野で素晴らしいブログを書いている人が,そのブログで食べ物など個人的な話題も掲載していたりするからだ。情報源をもとにした場合,地域別の分類もうまくいかないという。The San Francisco Chronicleはサンフランシスコ以外のニュースも扱っているし,同時にサンフランシスコで起こった話題は,所在地がサンフランシスコ以外の新聞社も掲載している。

 キーワードをベースにしてもうまくいかないという。「San Francisco」の文字列を取り出して分類しても,例えば「....1960年にサンフランシスコに移住...」などとある記事では,記事全体がサンフランシスコに関連することは少なく,適切な分類にならないという。

 これを解決するため,同技術ではすべての記事を個々に“読んで”地域やサブジェクトを決めているという。その方法は,人や場所,サブジェクトを明確化して,同社のナレッジベースのトピックと照合すること。これにより,数十万というカテゴリ分けが可能になったという(Rich Skrenta氏のブログ)。

 こうして分類した上で,各ニュースに対し特定の要素でバイアスをかけ,記事の重要度を決めているという。例えば,APの伝えるニュースは,約70サイトに同じものが掲載され,露出が多いが,おもしろいものでなければマイナスのバイアスをかける。一方,ローカル・ニュースは約10サイトくらいにしか掲載されないが,おもしろければプラスのバイアスをかける。

 「犬が燃えている家から男を助けた」と「連邦議会,税法案の議決遅れる」があれば,同社は前者に重きを置くという。これは他社サイトとの差異化や,よりセンセーショナルなものを重視するという同社の意向を反映したものという。もちろんこのバイアスの設定は自動化している。一例としては,「有名人」「犯罪」「健康」にはプラス側へ,「ビジネス」はマイナス側にするという基準を設けているという(米CyberJournalist.netに掲載の記事)。

 以上がTopix.netの概要だが,ここで,今回Gannett社,Knight Ridder社,Tribune社によるTopix.net社株の取得で,何が変わるのかについて考えてみる。