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 イスラエルZend Technologiesは,オープンソースのWebアプリケーション開発言語PHPのスクリプト・エンジン部分を開発した技術者らが設立した企業。PHPの高速化ツール「Zend Performance Suite」や開発環境「Zend Studio」を開発している。来日したZend TechnologiesのCEO Doron Gerstel氏に,オープンソース・ソフトウエアによるビジネスについて聞いた。(聞き手はIT Pro編集 高橋信頼)

――オープンソース・ソフトウエアを「使う」ことは大きなビジネスになってきましたが,オープンソース・ソフトウエアを「作る」ことはビジネスになっていますか。

Doron Gerstel氏
 Zend Technologiesは,2002年度は赤字でしたが2003年度は黒字でした。2004年度は米国オフィスの拡充など投資を行ったため赤字ですが,2005年度は大幅な黒字を見込んでいます。

 オープンソースも商用ソフトもビジネスの本質は同じです。「ユーザーにとっての価値を創造すること」です。顧客にとって価値のあるものを提供できれば,収益を得ることができます。

――しかし,無償で使用できるオープンソース・ソフトウエアから収益を上げることは簡単ではないように思えます。

 まず,ユーザーが,例えば楽天がオープンソース・ソフトウエアを評価して,「良い」と判断します。これがステップ1です。次にアプリケーションを作る。これがステップ2。そしてアクセスが増え,楽天のビジネスが拡大し,収益を上げるのがステップ3。ステップ4では,楽天は多くのアクセスに対応するために高速化ツールが必要になり,プログラマの生産性を上げるために開発環境が必要になる。ここで我々のビジネスになる。

 すなわち,ユーザーがオープンソース・ソフトウエアで収益を上げれば,我々の収益になります。

――Zendのビジネス・モデルは,米Red HatやスウェーデンMySQLとは異なります。Red HatやMySQLは,ソースコードが公開されたソフトウエアを販売しているのに対し,Zendは販売しているソフトウエアのソースコードを公開していません。

 これも,ユーザーにとっての価値は何かという問題です。Red Hatの顧客にとっての価値は,24時間365日のサポートです。OSは障害によって停止したりすることがあり,サポートが必須です。だからユーザーはサポートを購入する。

 一方PHPはプログラミング言語ですから,停止したりはしません。代わりに重要になるのは,良いアプリケーションを早く作ることです。だから,開発環境や高速化ツールが価値を生みます。

――EclipseはIBMがオープンソース・ソフトウエアとして公開したことでコミュニティが機能拡張し,普及しました。Zend Studioもソースを公開すればコミュニティが機能拡張するのでは。

 EclipseでPHPを開発するためのプラグインもありますが,開発環境にとって重要なのは動作速度と機能であり,Zend Studioのほうが優れていると認識しています。

 ユーザーが拡張機能を作成できるプラグイン機能は,Zend Studioの次のバージョンでサポートする予定です。

 ソースコードを公開することがユーザーにとって価値を生むのであれば公開しますが,おそらく価値を生むことはないと考えています。「ソースを読みたい」という要望もほとんど寄せられてはいません。ユーザーはPHPの専門家であって,開発環境の専門家になりたいわけではないと考えています。