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日付の扱いに注意

 逆に明らかに問題と考えられるのが,日付を引数に使う関数である。例えば,Excelでは,MONTH("2002/05/01")やMONTH("2002年5月1日")と入力すれば5月の「5」という答えが返ってくる。Calcはこのように指定するとエラーとなる。MONTH("5/1/2002")と入力しないと「5」が返ってこないのである。これは他の日付を引数に使う関数でも起こる。サンはバグとして認めており,「早急に対応する」(雨宮部長)という。ちなみに,デスクトップ・データベースAccessのVBAやクエリ操作では,2002年5月1日という日付のつもりで,"#02/05/01#"を指定すると,2001年2月5日が入力されたことになる。これはデータベース・エンジンJetの仕様であり,日付の書式は環境によって仕様が異なる場合があるものでもある。

 ExcelにあってCalcにない関数は18個ある。OSのバージョンなどWindowsのシステム情報を取得するもの,文字列を処理するものの大きく分けて二種類ある。前者はある意味当然だが,後者はちょっと注意が必要だ。Excelでは文字の位置を指定するのに,文字数とバイトの両方の単位で指定できる。これに対して,Calcでは文字数の指定にのみ対応している。あまり文字コードを意識した処理はExcelではしないので,それほど大きな問題にはならないだろう。また,Calcには全角の文字列を半角に変換したりその逆の処理を行う,漢字に対するふりがなを振るといった関数がない。

グラフも日付が問題

図5●グラフの日付と内容が変わってしまう例。
左がもとのExcel 2002,右がインポートしたCalcで表示したグラフ。積み上げ線グラフが普通のグラフになってしまう

 グラフは,縦棒から株価チャートまでExcel 2002が作成できる55種類について調べてみた。

 結果は,等高線グラフやバブルチャートなどExcel独自のグラフはインポートできなかった。等高線は縦棒グラフになり,バブルチャートは空白になってしまった。ただ,これ以外のグラフはほぼインポートに成功した。StarSuite 6.0のベータ版まで残っていた円グラフをインポートすると棒グラフになってしまうバグも解消していた。

 ただ,気になる点が二つあった。一つは関数と同様に日付の扱い。Excelで「2002年1月」と表示されていた年月が,「37257」とシリアル値に変わってしまった(図5右[拡大表示])。また,図5左のExcelでは積み上げ線グラフで作成したが,Calcにインポートしたら図5右のように普通の線グラフになってしまった。

プレゼンのレイアウトは完璧

 最後にプレゼンテーション・ソフトのImpressを検証してみた。結果は,PowerPoint 2002で作ったファイルを読み込んでレイアウトや日本語文字フォントなどを忠実に再現できた。

 しかし,図形などオブジェクトを消したり表示したり,移動するといったアニメーションについては再現できるものと,できないものがあった。

 例えば,PowerPointでアニメーションを設定したファイルをImpressに読み込むと,各オブジェクトに2個設定した効果のうち1個しか再現できない。Impressでは一つのオブジェクトに対し,一つのアニメーション効果しか設定できないからである。また,オブジェクトの斜めや上への移動など,効果によっては対応していないものもある。

高いWindows版との互換性

 ここまでの検証には有償版のStarSuiteのLinux版を使ってきた。StarSuiteにはこれ以外にもいくつかの選択肢が存在する。一つはStarSuiteのWindows版,そして無償のOpenOfficeである。これらの互換性も調べてみた。

 まず,StarSuiteのLinux版とWindows版の互換性は各アプリケーションにおいてほぼ完璧である。Writerの場合,同じレイアウトを実現するには,Linux側にWindowsのMS 明朝/ゴシックやMS P明朝/ゴシックと同じ字体を持つフォントが必要である。

 このようにWindows版との互換性は高い。まずWindows版のStarSuiteで日常使っているMicrosoft Officeのファイルを読み込んで問題がなければ,OSごとLinuxに移行するといった使い方もできる。

日本語処理に小さなバグ

 次にOpenOfficeのLinux版とMicrosoft Office,StarSuiteのLinux版の互換性を調べてみた。

 その結果,StarSuiteのファイルは問題なかったが,Microsoft Officeのファイルは日本語の表示ができなかった。

 この問題はWriterとImpressで起こり,Calcでは起こらなかった。WriterとImpressはMicrosoft Officeのファイル内にある日本語キャラクタを英文キャラクタとして認識していることが原因と見られる。WordとImpressで英語のフォント設定を「明朝」などの日本語フォントに変更すると日本語が表示されるからだ。また,文書内の文字を選択して日本語フォントを指定し直すことでも解消する。

業務用であればStarSuite

 StarSuiteの機能はオフィス・スイートを使うほとんどのユーザの要求を満たしている。

 Microsoft Officeとの互換性も大部分のユーザにとって問題にならないレベルといえる。ワープロ・ソフトに関しては1行1文字,1mmのずれも許さないというユーザ以外には十分な互換性がある。表計算ソフトに関しては,約9割の関数が対応している。残りの1割が必須がどうかで判断すればいいだろう。

 StarSuiteの最大のメリットはコストでもある。OpenOfficeを使えばまったくの無償で同等のオフィス・スイートを手に入れることができる。ただ,使ってみた限り,StarSuiteではなかったが,OpenOfficeは関数やグラフをたくさん作成した表計算でハングアップがたまに起こった。また,日本語処理のバグもある。業務で利用するのであれば,安定性の高いStarSuiteを使うのが賢明である。

(市嶋 洋平)