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図●地域IP網内のIPパケットの流れ
IPv6を用いる「FLET'S. Net」のサービス開始により,NTT東日本が提供する地域IP網はIPv4/v6のデュアルスタック環境になる。IPv4での通信はPPPoE(PPP over Ethernet)を用いるが,FLET'S. NetではネイティブのIPv6接続となる。

 なかなか目立った広がりを見せられないIPv6であるが,これまでとは違った用途での活用をうかがう試みが出始めている。特徴的なのは,インターネット接続を目的としないこと。例えば,NTT東日本が2004年1月6日に開始した「FLET'S.Net」である。

地域IP網内限定のIPv6接続

 FLET'S.Netは「Bフレッツ」および「フレッツ・ADSL」のユーザーを対象にした通信サービス([拡大表示])。ユーザー間の通信をIPv6で提供するものであり,これまでのフレッツのようにインターネット接続のためにプロバイダと接続する用途では使えない。FLET'S.Netユーザーには,IPv6アドレスのネットワーク・アドレス部分に相当する64ビットのプレフィックスが割り当てられる。

 NTT東日本はメッセンジャー・ソフト「FLET'S.Netメッセンジャー」を提供する。これによりFLET'S.Netユーザー同士がピアツーピア接続でメッセージやファイル転送,映像および音声チャットを利用できる。事業者向けメニュー「FLET'S.Net EX」で契約すれば,FLET'S.Netユーザーを対象に映像コンテンツのマルチキャスト配信サービスなどを提供できる。利用料金はFLET'S.Netが月額300円,FLET'S.Net EXが月額80万円からとなっている。

 FLET'S.Netは「フレッツの付加価値を高めるサービスとして企画」(NTT東日本 サービス開発部 フレッツサービス推進室 IPネットワークサービス担当 担当部長の田畑雅裕氏)され,2003年1月から,東京23区内のBフレッツ・ユーザーを対象に実験サービスとして提供していた。半年後に約700ユーザー,2003年9月にフレッツ・ADSLもIPv6対応したことで,最終的な参加者は1500ユーザーに上った。これは,正式サービスも含め,既存のIPv6接続サービスの中では最大級の規模である。「今後1年間でフレッツ・ユーザーの2%程度(4万~5万ユーザー)の利用を見込んでいる」(NTT東日本の田畑氏)という。
 ただしこの見込みユーザー数については,「主なアプリケーションがメッセージングとコンテンツ配信ではIPv6の普及を大きく進める力にはならないのでは」(フリービット 経営企画室 シニアマネージャーの牧野 健一氏)との指摘もある。

アドレス変換したくないからIPv6

 インターネット接続を前提としないサービスとしては,フリービットが2003年12月に開始したIPセントレックス「FreeBit OfficeOne IPビジネスホン」もある。独自のトンネル技術「Feel6」を用い,IPv4インターネットを通じて同社のSIPサーバーとユーザー企業の端末間をIPv6で接続する。このサービスでIPv6技術は,IP電話を実現するためのみに使っている。ファイアウォールやNATを回避して,低コストでIPセントレックスを実現するために採用したという。トンネル技術を使えば,インターネットをIPv6通信の中継網として手軽に活用できる。今後こうした特定用途向けのIPv6活用が進展するかもしれない。

(仙石 誠)