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標準利用ならWindows並みの日本語環境

写真10●ジャストシステムのかな漢字変換システムATOK Xを使っているところ
GUIで利用環境の設定ができる(右上のウインドウ)。WindowsやMac OS版から辞書を移行できる。ARMA 2.1でOpenOffice.orgの「Writer」を使っている。
 欧米に比べて,日本でLinuxクライアントの普及が難しいのは日本語環境の構築が難しい点にある。Linuxディストリビューションを使えば十分使える環境になるが,例えばかな漢字変換ソフトを乗り換えようとしたり,新しいフォントを追加したりしようとすると一気に話が難しくなる。この点ではまだまだWindowsには及ばないが,ディストリビューション標準のまま使うのであればWindows並みといってよいレベルには来ている。

Windows並みの入力環境

 Linuxで使われているかな漢字変換システムは大きく分けて三つある。京都大学とオムロンが共同で開発した「Wnn」,ジャストシステムの「ATOK X」,NECの「かんな(Canna)」である。Wnnは無償で利用できる「FreeWnn」および「Wnn 4.2版」のほか,オムロンソフトウェアが販売している商用製品の「Wnn7」がある。

 最新の商用ディストリビューションではRed Hat Linux 8.0とVine LinuxがWnn7,Turbolinux 8 WorkstationとARMA 2.1がATOK Xをバンドルしている注17)

 ATOK XとWnn7は,かな漢字変換システムとしてWindows版と同程度の機能を備えている。ATOK Xは1998年末に発売したWindows版のATOK12と同じ変換アルゴリズムを採用している。文章の校正機能もある。WindowsやMac OS版のATOKと辞書や単語ファイルの互換性もある。また両者ともGUIを使って入力方式の設定や辞書の管理ができるし(写真10[拡大表示] ),入力した数文字から履歴を検索し候補を提示する予測変換機能を備えている。

新しい入力インタフェース

図6●Linuxのかな漢字変換システム
XIM対応のアプリケーション,入力サーバー,かな漢字変換サーバーの3層構造が基本。ただしATOK Xの場合,XIMPとIIIMPを相互変換するバックエンド・サーバーが介在する。またmuleのように,変換サーバーと直接やり取りするアプリケーションも存在する。

 Linuxのかな漢字変換システムは,マルチユーザー環境に対応するために結構複雑な構造をしている(図6[拡大表示])。基本的に3層構造となっている。かな漢字変換が有効になると,アプリケーションはキー操作を「入力サーバー」に渡す。このサーバーが各ユーザーからのキー入力を管理する。入力サーバーは「かな漢字変換サーバー」に文字列の変換を依頼する。

 この過程で,いくつかの通信プロトコルが使われる。「標準」と言えるのは,XIMP(X Input Method Protocol)というX Window Systemの一部として定められたものだ注18)。したがって,X Window Systemを使っていない環境では,個々のアプリケーションがかな漢字変換サーバーと通信しなければならなかった。この状況は基本的に今でも変わっていない。

 ここに来て新しい通信プロトコルが浮上してきた。ATOK Xが採用しているInternet-Intranet Input Method Protocol(IIIMP)である。IIIMPは元々,Java2の入力システム用プロトコルとして策定されたもの。オムロンソフトウェアも「IIIMPの採用を検討している」という。辞書データをサーバーで一元管理できるほか,ネットワークに接続したほかのマシンで動くJavaアプリケーションでもかな漢字変換ができるようになるからだ。

きれいになったフォント表示

 Linuxのフォント表示は数年前に比べると,格段にきれいになった。例えばRed Hat Linux 8.0では,デスクトップ環境の画面上に表示するフォントをアンチエイリアス処理する(写真11[拡大表示])。文字の角がとれてきれいに見える。これはLinuxの多くが採用しているX Window System「XFree86 4.0」で導入された新しい機能を利用している注19)

 Linuxディストリビューションには,日本語のTrueTypeフォントがバンドルされている。商用のものではリコーかダイナラブ・ジャパンの製品を搭載しているところが多い。これらを使うことで,Windowsと比べても文字表示の外観上は大きな見劣りがなくなった(写真12[拡大表示])。FTP版などにはフリーの「東風(Kochi)明朝/ゴシック」,「和田研中ゴシック」などが組み込まれている。フリーのフォントの質もあがっている。

写真11●画面のフォントにアンチエイリアス処理を施したところ(右)
X Window Systemのフォントの管理機構でアンチエイリアス処理をしている。ここに示したのはRed Hat Linux 8.0の画面。
 
写真12●テキスト・エディタでTrueTypeフォントを表示しているところ
フリーで配布している東風(Kochi)フォントの明朝とゴシックを使っている。Red Hat Linux 8.0の画面。

新規の導入はパッケージで

 ただしフォントをユーザーが新たに追加しようとすると,結構面倒なことになる。Windowsのように専用のディレクトリにフォントのファイルを放り込むだけで,どのアプリケーションからも使えるようにはなっていないからだ。

 ポイントは大きく二つ。画面表示用のフォント設定をX Window System用に実施することと,印刷用にGhostscriptに設定することだ。さらにアプリケーションがフォントを抱えている場合は,こちらにも設定してやらなければならないこともある。このうち画面表示と印刷用は,RPMなどのパッケージがあれば比較的簡単に組み込める。

(大森敏行,市嶋洋平)