PR

多くの対応製品があるSDカード

 メモリースティックは,シャープ製の音楽プレーヤなど一部の例外を除き,事実上ソニー製品専用のメモリーカードといっていい。これに対し,多くのメーカーが対応機器を発売しているのが,松下を中心に規格化したSDメモリーカードである。2003年1月現在,59社の製品(合計393モデル)がSDメモリーカードに対応している。

 SDメモリーカードは標準で著作権保護技術を備えているのが特徴だ。採用した著作権保護技術はDVDでも使われているCPRM(Content Protection for Recordable Media)である。

 SDメモリーカードのスロットはMMCも使用できる。SDメモリーカードはMMCと縦と横のサイズは同じで厚みが増えている。厚みを増やした理由は,チップを積層することで大容量化するためだ(別掲記事「メモリーカードを大容量化するさまざまな工夫」参照)。将来は動画を扱うことも見込んでいる。

 高速化については,MMCよりもピン数を増やして,シリアル転送からパラレル転送に変更した(写真3[拡大表示])。SDメモリーカードの規格自体には速度に関する規定はないため,市場には転送速度が速いものと遅いものが存在する。現在,松下製SDカードの転送速度は10Mバイト/秒ほどだ。2003年後半にはコントローラーを改良して20Mバイト/秒まで転送速度を上げる予定だという。

 SDメモリーカードは,メモリーカード以外のカード用インタフェースとしても注目を集めている。従来のPCカードやCompactFlashのスロットより小型のスロットで済むため,PDA用の汎用スロットに向いているからだ。PDA用スロットとしては,データ通信カードがあるかどうかが使い勝手を左右する。屋外での使用を考えるとPHSデータ通信カードが特に重要だ。SDメモリーカード・スロット用のPHSデータ通信カードにはセイコーインスツルメンツの「AH-S101S」がある(写真4[拡大表示])。一方,メモリースティック・スロット用カードとしては,Bluetooth通信カードやGPSカードなどがあるものの,PHSデータ通信カードはまだない。

写真3●MMCとSDメモリーカードのピン数の比較
MMCは7ピンだったがSDメモリーカードは2本増やして9ピンにした。転送方式をシリアルからパラレルにして高速化するためである。
 
写真4●SDメモリーカードのインタフェースを使用したPHSデータ通信用モジュール
2002年12月にセイコーインスツルメンツが出荷開始したAH-S101S。DDIポケットのデータ通信サービスAirH"に対応する。

用途をデジタルカメラに限定

写真5●SmartMediaのコネクタ(上)とxD-Picture Cardのコネクタ(下)
メディアのサイズが小さくなることでコネクタも小さくできた。

 これら二つの規格がデジタルカメラや音楽プレーヤなど多くの用途を念頭に置いているのに対し,用途をデジタルカメラの記録メディアに絞って開発されたのがxD-Picture Cardだ。オリンパスと富士写真フイルムが規格を決め,この規格に基づいて東芝が製造している。国内でxD-Picture Cardを販売しているのはオリンパスと富士写真フイルムの2社のみである。今後は両社が発売する機種は基本的にはxD-Picture Card対応になる。

 両社はもともとデジタルカメラにSmartMediaを採用していた。しかし,SmartMediaには128Mバイトまでの製品しかなく,厚みは薄いものの投影面積が大きいため機器の小型化にも限界があった。また,接触面がむき出しであるため,取り扱いに注意を要する。そこで“デジタルカメラのフィルム”に特化したメディアを両者で共同開発した。フィルムというのは,「データを毎回パソコンに取り込んで,1枚のメディアを使いまわすのではなく,容量がいっぱいになったら新たにメディアを購入する」(オリンパス光学工業映像システムカンパニー映像戦略推進部の中島幸夫技術渉外担当部長)という使い方を意味している。カメラには必要ない著作権保護技術は採用せず,ユーザーに余分なコスト負担をかけないようにした。

 xD-Picture Cardは,SmartMediaの半分ほどの大きさで厚みを増している。小型化したことで機器側のコネクタも大幅に小型化できた(写真5[拡大表示])。厚みを増したのは,SDメモリーカードと同じくチップ積層により大容量化しやすくするためだ。

高速化に向かうCompactFlash

図2●Write Acceleration(WA)技術の仕組み
従来は1セクターの書き込みごとに割り込みが発生していたのに対し,WAでは複数のセクターをまとめて書き込むことで割り込みの回数を減らした。

 xD-Picture Cardが登場したことで,SmartMediaは今後は縮小の方向だ。これに対しCompactFlashは,高速化と大容量化で存在意義を高めようとしている。

 Lexar MediaはCompactFlashの高速化技術として,データの転送方法を工夫したWrite Acceleration(WA)技術を開発し,対応製品を出荷している。この技術を使えば,転送速度を従来より最大40%高速化できるという。ただし,WAの恩恵を受けるには,CompactFlashだけでなく機器側も対応している必要がある。WAに対応した機器には,ニコンやコダックの一眼レフタイプのデジタルカメラなどがある。

 通常,CompactFlashはCPUを介してデータを書き込んでいる。これをProgrammed I/O(PIO)方式という。PIOでは1セクターの書き込みごとにCPUに処理を要求する割り込みを発生させる(図2[拡大表示])。WAは複数のセクターにまとめて書き込むことで割り込みの回数を減らし,処理のオーバーヘッドを減らす。

 さらなる高速化の手段としては,現行のハードディスクのデータ転送方式であるDirect Memory Access(DMA)を採用した規格が検討されている。DMAはCPUを介さずにデータを書き込む方式。DMAを使えば,WA方式よりさらに書き込み時のオーバーヘッドを減らせるため,より高速なデータ転送が可能になる。

従来のカードをさらに小型化

写真A●メモリースティックDuoとRS-MMC
専用のアダプタを装着すれば従来の大きさのメディアとして使える。
 主に携帯電話の記録メディアとして使うために,メモリーカードのサイズを約半分ほどに縮小した製品もある(写真A[拡大表示])。メモリースティックDuoは,メモリースティックを約半分に小さくした製品。NTTドコモのカメラ機能付き携帯電話「D251i」に採用されている。撮影した画像を記録する。ただ,形状が半分になったことで中に入るチップの数にも制約がある。容量は最大で64Mバイトの製品が販売されている。メモリースティックとして使う場合は,ピン側に専用アダプタをかぶせる。

 当初から小型だったMMCにも,サイズを約半分にしたRS-MMC(Reduced Size MultiMediaCard)がある。日立製作所が開発した。主に欧州の携帯電話への採用を狙っているが,採用例はまだない。ちょうどMMCを半分に切ったような形状で,長さはMMCの半分より若干長い(MMCの長さは32mm,RS-MMCの長さは18mm)。後部に専用アダプタを取り付けることで,MMCとしても使える。

 携帯電話のカメラ機能が充実していくのに合わせて,今後携帯電話にどの規格のメモリーカードが採用されるかがシェアに大きく影響する見込みだ。

【2003年6月26日 追記】
 本記事のもとになった日経バイト2003年3月号の発売後,メモリースティックDuo対応の携帯電話として「D505i」「SO505i」が加わった。またメモリースティックDuoの最大容量は128Mバイトになっている。


(堀内 かほり)