今月の回答者

初級
高橋 秀和
日経バイトBest Way担当

中級
山田 努
SRAネットワーク&サービスカンパニー
オープンソースソリューション部 オープンソースサポートグループ主任

画面●洛西一周氏作の「紙 2001」

Q 初級:今見ているWebページを手軽にスクラップする
役に立つWebページを見ていると,自分のパソコンに保存しておきたくなります。IEのお気に入りに登録しても,いつWebサイトが消えるかと心配です。なるべく簡単に保存したいのですが,どうしたらよいのでしょうか?

A
時が経つと消えてしまうことがあるWebページ。気に入ったページを保存しておきたくなるものです。

 NetscapeやMozillaでは,htmlと画像ファイルを分けて保存するか,テキストのみを保存する機能しかありません。Internet Explorer(IE)であれば,上記の二つに加えて,開いているWebページを拡張子mhtのファイルとして丸ごと保存する機能があります。mht形式で保存するためには,「ファイル」メニューの「名前を付けて保存」で,「ファイルの種類」を「Webアーカイブ,単一のファイル(*.mht)」を選びます。

 Webページを丸ごと保存するだけであれば,IEの保存機能もそれなりに使えます。バナー広告や不要なフレームなどを除いて,Webページの一部を切り取って保存するとなると,IEの機能だけでは足りません。それにもう一つ,どんどんWebページを溜めていった際の検索性も問題です。mhtファイルは,Windowsの検索機能の対象にならないからです。この点,htmlやテキストのみで保存する方法に劣ります。

 ブラウザを問わずに使えて,保存したWebページを検索できる。その二つを兼ね備えたツールが洛西一周氏作の「紙 2001」です(画面[拡大表示])。取り込みたい部分を選択して,紙 2001のフォルダ・アイコンにドラッグ・アンド・ドロップするだけです。Webページの必要な部分だけを選択してサクサク保存していける便利さは,他に代え難いものがあります。

 無償で利用できますが,一カ月の試用期間後はユーザー登録が必要です。検索機能については、検索結果の一覧表示やキーワードの強調表示と一通り揃っています。不足があるとすれば、紙2001の管理単位となる「箱」を複数使ってページを取り込んだ際に,複数の箱にまたがった串刺し検索ができない点でしょう。

(本誌)

Q 中級:Linuxにおけるエディタとかな漢字変換ソフトの定番は?
Linuxでテキスト編集の環境を整えたいと思います。viやemacsなどの定番エディタ以外に,よく使われているソフトはあるのでしょうか? かな漢字変換ソフトの使い勝手も気になります。

表1●Linuxで動作する主な商用エディタ・ソフト
表2●Linuxで動作する主な商用エディタ・ソフト

A
viやemacsといったエディタは古くから使われており,さまざまな環境で導入直後から使える事実上の標準となっています。これらはコンソール・ベースで動作するので,X Window Systemがない環境やtelnetによるリモート・ログインなどで使える点も重要でしょう。Linux環境でのエディタでは,vi/emacsの双璧がまだまだ主流と言えそうです。

 X Window 環境に限れば,最近のKDE/GNOMEといったデスクトップ環境は日本語対応のエディタを標準で搭載しています。操作方法がWindowsのメモ帳(notepad)に似せてあるため,Linuxを使い慣れていないユーザーであってもそれほど違和感なく使えるのが特徴です。

 WindowsやDOS環境で使われていたエディタを移植して,Linux上で動作するようにしたものもあります(表1[拡大表示])。最近ですと,メガソフトが「MIFES for Linux」の販売を開始しました。ビレッジセンターではVzの移植版として「XZ for Linux」のベータ版を無償で公開しています。

 かな漢字変換ソフトの使い勝手となると,評価が難しいところがあります。無償のソフトですと「FreeWnn」「Canna」「SKK」などが古くから使われています。Linuxディストリビューションの多くが収録していますので,これらを使っている方も多いでしょう。

 商用の製品ですと,「Wnn7 Personal for Linux/BSD 」「VJE-Delta Ver.3.0 for Linux/BSD」「ATOK X for Linux」などがあります。これらの製品は,入力用のユーザー・インターフェイス部分に,単語登録や漢字の検索といった色々な機能を備えています。かな漢字変換ソフトとしての機能や変換効率などを見れば,商品版のソフトの方が優秀でしょう(表2[拡大表示])。

コンソール利用が主ならWnnかCanna

 かな漢字変換ソフトとしての機能以外に選択のポイントとなるのは,かな漢字変換ソフトで入力した文字列をアプリケーションに受け渡す方式です。X Windowをメインに使うか,コンソール画面をメインに使うかで事情が異なります。

 X Window環境では,おもにXIM(X Input Method)方式が使われています。最近のX Windowで動作するGUIアプリケーションの多くがXIMに対応しています。文字入力時にはXIMを介して,多言語の文字を入力するわけです。XIM対応のアプリケーションであれば,統一的な操作体系で文字入力ができます。

 ただXIMは,その名の通りX Window以外ではかな漢字変換を利用できません。リモート・ログインを多用するユーザーであれば,コンソール画面でかな漢字変換を使いたい場面も出てくるはずです。コンソール画面でかな漢字変換を使いたいのであれば,Wnn向けの「uum」,Canna向けの「canuum」といった入力補助ツールとの組み合わせを考慮した方がよいでしょう。

 Emacs系のエディタを常用する場合は,エディタで直接かな漢字変換ソフトを制御する選択肢があります。もっとも別のアプリケーションでXIMを使用している場合は,入力方式が混在するため若干の操作上の違いが気になるかも知れません。また,Emacs用に実装された独自の日本語入力機構もありますので,試してみるのもいいでしょう。代表的なものには,かな漢字変換ではなく,キーの組み合わせによって直接日本語入力を行なう「T-Code」があります。

(山田)